2023 Fiscal Year Research-status Report
小児の好酸球性消化管疾患におけるTGF-βシグナル伝達系の機能解析
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20K16867
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
稲毛 英介 順天堂大学, 医学部, 助教 (60749951)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 好酸球性消化管疾患 / 寄生虫感染症 / TGF-β1 / シグナル伝達系 / SNAI1 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに得られた、基礎細胞モデルにおける、好酸球性消化管疾患やnon IgE GIFAにおける消化管粘膜バリア機能障害とその機序に関する成果から、広義の非IgE食物アレルギー(特に、いわゆるSolidFPIES)におけるバリア機能障害のSurrogate Markerを、分子生物学的な手法を組み合わせつつ探索することが補助診断として有用である可能性を考えた。 このため今年度にかけて、Solid FPIESの入院食物負荷試験を行う実際の小児患者の便サンプルを用いて、潜在的な診断マーカーの探索を行った。この結果、負荷試験前後の臨床便検体を用いた経時的な解析により、粘膜障害の古典的マーカーの一つである便中カルプロテクチンが、Solid FPIESにおける経口食物負荷試験においてもSurrogate Markerとして有用であり、負荷後に著名な便中濃度の上昇を呈することを小児の負荷試験における臨床検体を用いて示すことができた。 今後はこの臨床的な成果を拡充し、これまでに提唱されたTARCなど他の診断マーカーとの比較や、便中マイクロバイオーム・サイトカインプロファイルと粘膜バリア機能障害の関連について経時的な挙動の検討を進めていく。こうした手法で、細胞生物学的な手法で得られた知見を小児のSolid FPIESの網羅的な病態解明につなげていき、最終的にはこうした成果を小児科における実地臨床に還元していくことを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスのパンデミックにより基礎研究の推敲に不可欠な設備、資源へのアクセスが1年以上制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎から得られたバリア機能障害のメカニズムに関する成果を侵襲性の低い便などの診療検体を用いて検討することが既に可能となっており、今後はTARCなどのすでに提唱された血液マーカーとの比較を加えたり、および網羅的なサイトカイン解析にこの成果を拡充していくことを考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスによる実験計画の遅延がほぼ費目の使用遅延に帰結した。今後は臨床検体を用いた検討に、予算を集約的に投入し最終年度にふさわしい成果を達成することを想定している。
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