2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the new risk assessment method of leukemic cells using bile acid uptake
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20K16870
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
羽賀 洋一 東邦大学, 医学部, 助教 (30468714)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胆汁酸 / 白血病 / 造血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に行った成果は3点である。 1、本研究では、白血病などの化学療法治療において、化学療法後の骨髄抑制から骨髄が回復するときに胆汁酸が一過性の上昇をしめす現象をヒントに、緊急造血時または血球造血時に胆汁酸を利用して血球が増殖するメカニズムを解明している。小児患者でのデータを元に本現象を確認したわけであるが、成人例でのデータが乏しいため、現在成人症例のデータを収集中である。本研究費から、患者様の同意をいただき、胆汁酸などの検査データ費用をまかない、データ収集を行っている。 2022年度収集した成人症例は1件であった。COVID-19感染症の流行により対象患者数が当院で減少してしまったため、年間の対象患者の見込み数を大きく下回ってしまっている 2、本研究の成果の一つに、蛍光胆汁酸を用いて造血幹細胞や白血病内に胆汁酸のとりこみがみられるという知見がある。また胆汁酸取込みによって細胞の増殖が促進されることや、 増殖力が高い腫瘍細胞ほど悪性度が高い傾向が得られた。特に急性リンパ性白血病の患者では、胆汁酸取込み量が多い腫瘍細胞程悪性度が高い結果となった。胆汁酸取込みと相関する表面抗原はCD34であった。ただし、CD34の陽性率と蛍光胆汁酸の取込み量との相関関係については今後解明する必要がある。この結果について、日本血液学会で発表した。 3、血球内への胆汁酸取込み現象の解明のために、好塩基球などの他の血球との関連を確認するため、フローサイトメトリーを用いて各血球への取込みを確認する実験の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、成人の白血病患者のデータ収集を行っている研究である。しかしながら、2020年から本格的に世界的に流行したCOVID-19によって、当院への入院患者の制限もあり、血液腫瘍患者の入院が極端に減少したため、症例の収集が滞っている。 更に、成人の血液悪性疾患の治療の内容に変化が生じ、分子標的療法が主になってきたことから、骨髄抑制を生じない治療法にシフトしてきたことから、更に成人例の症例の収集が困難になってきた状況がある。
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Strategy for Future Research Activity |
対象となる成人患者数が減少したことから、2点対策を行っている。1点は、悪性腫瘍細胞内への胆汁酸取込み実験を、Cell Lineで行うこと。2点は、引き続き成人症例のリクルートを続けること。
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Causes of Carryover |
本研究の一つとして、成人急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病患者における骨髄抑制からの回復期の胆汁酸値とはじめとした脂質代謝のデータ収集がある。しかしながら、COVID-19の流行によって受診控えや、当院から他院への紹介例が増えたため、当院で治療を行う血液腫瘍の成人患者が減少したことから、目標であるデータ収集を行うことができなかったという事象が生じた。そのため、当初研究期間は3年であったが1年延長を申請し、次年度まで対象患者の収集を行うこととした。また、患者データだけではなく、次年度は白血病細胞株を利用して白血病細胞の胆汁酸取込みを確認する実験を追加することとした。 具体的には、6~10種類の白血病細胞株を使用し、本研究の予備実験に使用した蛍光胆汁酸を使用して、細胞株に添加し、FACSによる取込み解析、細胞培養を行っていく。
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