2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the new risk assessment method of leukemic cells using bile acid uptake
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20K16870
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
羽賀 洋一 東邦大学, 医学部, 院内講師 (30468714)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胆汁酸 / 造血 / 髄外造血 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年~2023年にかけて成人の骨髄抑制を伴う化学療法を実施している患者様の血液データを収集した。胆汁酸、TC、TG、HbFなどの項目の検査を通常診療に伴う採血に加えて行った。成人と小児の化学療法後の骨髄抑制からの回復期には、成人例では胆汁酸が増加せず、小児例のみが胆汁酸が増加することがわかった。 このことから、一つの仮説を導いた。哺乳類の造血は、胎児期の造血は卵黄嚢から肝臓脾臓で造血の場を移し、出生前は骨髄で造血を行う。小児は胎児期からの期間は成人に比べて年数の経過は浅いため、骨髄抑制時の緊急造血(または造血のバックアップ)のために胎生期の記憶が蘇って肝臓内での造血が一過性にみられるのだと考えた。成人は胎生期の記憶が加齢とともに消失してしまうため、骨髄抑制期の肝臓内での髄外造血が生じないため、胆汁酸が増加しないのだと仮説をたてた。 そこで、マウスによる再現実験として、熊本大学と共同実験を行った。実験内容は、週齢の異なるマウス(4週、8週、26週)を用いて、5FUによる骨髄抑制をかけ、5FU投与後day3,7,11に骨髄回復期の末梢血中の血球数・胆汁酸、骨髄中の血球の分画の計測、FACS解析を行った。更に、骨髄抑制からの回復期の肝臓内の髄外造血を検証するため、マウス肝臓のプロテオミクス・RNA解析・骨髄のメタボロミクスを合わせて行った。プロテオミクス、メタボロミクス・RNA解析は現在解析中である。 これらの実験から、骨髄回復期の胆汁酸増加は小児期にみられやすく、骨髄造血が停止しているときのバックアップとしての肝臓内造血システムが復活するメカニズムが想定される。この結果を用いて、肝臓内の造血システムの再活性メカニズムを解明し、骨髄不全時の造血再生を開発していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究のマウスを用いた実験は、基礎系の先生方との共同実験が必須であり、研究協力者の三原田賢一氏の在籍する熊本大学へ赴いて実験を行うことが必要になる。2023年5月に新型コロナウイルスが第5類になったことで、感染管理が緩和して、病院側からの移動に関しする制限がなくなったことから、2023年度になってマウスによる実験が可能となった。 コロナウイルス感染隔離による移動制限によって当初の予定よりも遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス隔離対策が第5類のままであれば、今後は予定された研究を遂行するのみである。現在実施中の骨髄回復期のマウスの肝臓による髄外造血のメカニズムを明らかにすることで、造血のバックアップシステムを明かにしていく。
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Causes of Carryover |
2023年度に行ったマウス肝臓・骨髄を用いた骨髄回復期のメタボロミクス、プロテオミクス・RNA解析・胆汁酸成分解析の追加実験を予定している。また、成人患者の骨髄回復期の血液臨床データを更に増やすことを進めており、研究費の使用が予定されている。
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