2021 Fiscal Year Research-status Report
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症の新たな診断法開発と新規バイオマーカー同定
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20K16882
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加藤 明英 秋田大学, 医学部附属病院, 医員 (90865718)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症 / ライソゾーム病 / タンデム質量分析 / 乾燥濾紙血 |
Outline of Annual Research Achievements |
ライソゾーム病はライソゾーム内の酸性分解酵素が先天的に欠損していることにより、多量のグリコーゲン・脂質・ムコ多糖などが蓄積し、全身の多臓器に障害をきたす、進行性・不可逆性の疾患である。近年、酵素補充療法や低分子治療薬などの治療の進歩に伴い、早期診断の重要性が増しており、乾燥濾紙血(DBS)を用いたスクリーニング法が注目されている。酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)もその一つだが、現在本研究室では患者の培養皮膚線維芽細胞を用いて診断しており、検査侵襲性を伴い時間を要するものであるため、新たな診断法を確立する必要がある。 また、ライソゾーム病の治療が進歩してきている一方で、ASMDの神経症状に対する治療法はまだない。 本研究ではASMDの、①DBSを用いたハイリスクスクリーニングに対応可能な診断法開発と、②新規バイオマーカーの同定、を目的とする。本研究により、早期診断例が増え、診療レベルの向上に寄与することができる。また、独自に開発した高感度・高分離測定技術を用いて、ASMD患者検体のリピドミクス解析を行う。新規バイオマーカーの同定は、病態の更なる解明に繋がり、新たな創薬シーズを生み出しうるものである。さらに、新規バイオマーカーの同定は、治療反応性や予後予測のマーカーとしての可能性も秘めている。 令和3年度は当科で診断・治療を行った患者のDBSを用いて、ハイリスクスクリーニングに対応可能な診断方法を確立することに成功した。患者データファイルで他の血液検査データと酵素活性値の相関関係について統計学的解析を行った(投稿準備中)。また、バイオマーカーのリピドミクスに関しては、令和4年度も引き続き解析を行っていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的の1つめである、ASMDのDBSを用いたハイリスクスクリーニングに対応可能な診断法開発に関しては順調な経過である。目的の2つ目の、新規バイオマーカーの同定に関しては、コロナ禍でASMD患者検体が1検体しか収集できず、研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
DBSを用いたハイリスクスクリーニングに対応可能な診断法開発に関しては、より精度を高めるため、工程の確認・修正を行いながら本年度も継続して酵素活性値の測定を行っていく。また、ASMD患者の血漿検体を収集し、網羅的リン脂質解析を行う。同じ方法で行った健常成人のリピドミクス解析結果と比較することで新規バイオマーカーの同定を目指す。
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Causes of Carryover |
DBSを用いた酵素活性値測定を次年度も引き続き行うため、物品費として計上したNeoLSDを次年度購入とした。また、本年度予定していた研究成果の発表を延期したため、研究成果発表のための旅費と誌上発表するための経費が次年度使用となった。
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