2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K16886
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 敏谷 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (40867149)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DOHaD / 胎生期低栄養 / 肥満 / 肝脂肪変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では低出生体重児の出産率は増加しており約9.5%となっている。原因として、妊孕世代女性のエネルギー摂取不足が指摘されている。DOHaD学説より、胎生期低栄養を経験した児が成長後に肥満、糖代謝異常、脂質代謝異常および肝脂肪変性などのハイリスク群となる可能性が指摘されているが、その具体的なメカニズムは明らかではない。我々は、胎生期低栄養で成長後に肥満を呈するマウスモデルを調整し、成長後に肝脂肪変性の増悪がみられ、二次胆汁酸(Tauroursodeoxycholic acid: TU)の投与により改善することを報告した(Sci Rep. 5,16867,2015)。今回、肥満の表現型が顕著なるよう、胎生期栄養(Under Nutrition: UN)環境に加え、授乳期にCatch-up growth促し、マウス内臓脂肪(精巣周囲脂肪組織)のマイクロアレイ解析を行った。授乳量を調節して急速なcatcuh up growthを促し、生後の肥満の表現型を顕著にするため、UN/catch-up growth促進マウスモデルの産生仔に高脂肪餌を与え、Vehicle(Veh)またはTUを投与した。9週齢から脂肪を60%含む高脂肪餌を給餌し、16週齢の精巣周囲脂肪組織のマイクロアレイ解析を行った。16週齢の産生仔の体重・脂肪重量ともに、UNでは有意に増加し、TU投与により有意に改善した。UNの有無およびUNにおけるTU投与の有無による発現変動遺伝子群のエンリッチメント解析では、共通して変化する4つの 炎症に関連するGene Ontology(GO)を同定した。4GOに含まれる遺伝子群の発現量は、UN環境とTU投与により相反する増減を認めた (Front Endocrinol.2022,24;13)。肝臓組織についても解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験施設の工事のため、動物実験計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
胎生期低栄養/catch-up growth促進マウスモデルの産生仔に高脂肪餌を与え、Vehicle(Veh)または二次胆汁酸(Tauroursodeoxycholic acid: TU)を投与し、現在両比較群の 内臓脂肪組織において、共通する2番目に発現変化率の高い遺伝子としてOrphan receptor X(ORX)が認められ、UNおよび高脂肪餌投与により、内臓脂肪特異的に 発現が増加することが明らかとなり、現在解析を継続している。肝臓組織についても同様の解析を行っていく。また、表現型や炎症に関する遺伝子発現等に変化が認められた脂肪組織を用 いて、網羅的遺伝子解析やエピジェネティック解析も進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行で、予定していた学会に現地参加ができなかったため、今年度は成果の発表のために学会で発表を行う予定である。
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