2020 Fiscal Year Research-status Report
小児・AYA世代AMLにおけるヒストン修飾に着目した予後因子の確立と治療開発
Project/Area Number |
20K16895
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 洋徳 大分大学, 医学部, 客員研究員 (70727966)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小児AML / H3K27トリメチル化 / H3K4トリメチル化 / 治療抵抗性 / MLL / EZH2 / AYA世代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小児・AYA世代のAMLにおけるヒストンメチル化およびヒストンメチル化酵素であるMixed Lineage leukemia(MLL)やenhancer of zeste homolog 2(EZH2)の発現の解析を行い、ヒストン低メチル化およびヒストンメチル化酵素の発現低下が治療抵抗性の要因となるかを明らかにすることを目的とした研究である。2020年度の研究成果としては、小児AML症例の臨床データと検体の集積・収集を目的として、JCCG(Japan Children’s Cancer Group)に集積されているAML症例のうち、共同研究に同意が得られた施設の臨床データおよび骨髄クロット検体を頂いた。現段階で合計70症例を蓄積している状況である。また、収集した初発時の骨髄クロット標本を用いて、AML細胞におけるヒストンメチル化状態の評価を行った。具体的には、H3K4およびH3K27のトリメチル化についての解析であり、H3K4およびH3K27のトリメチル化抗体で免疫染色を行なった。様々な条件の下に染色を行い、免疫染色のプロトコールを確立した。発現評価スコア(IRS) は、Remmele の方法に準じて評価する方針として、実際には3者で観察を行い、中央値を最終的なIRSスコアとして評価することで、評価方法も確立した。これまでに、成人期のAMLでH3K27の低メチル化が治療抵抗性に関与することを大規模なAML集団(124例)で示したデータは存在する(Nat Med 2017)が、小児・AYA世代のAMLでヒストンメチル化に注目した報告は無く、本研究を進めることは、小児AML研究において、非常に重要性の高い研究結果をもたらす可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標としては、検体および臨床データの収集であり、さらにH3K4およびH3K27トリメチル化抗体による免疫染色における染色の条件検討を行い、免疫染色方法のプロトコールを確立した。さらに、その方法を用いて評価を行うための評価方法についても確立できた。これらの工程については、当該年度に予定していた工程から遅れておらず、予定通りに研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、MLL、EZH2などのメチル化酵素についても同様な方法で免疫染色により、評価を行う方針である。また、臨床データとヒストンメチル化状態との相関を評価して、ヒストンメチル化の状態が臨床へ与える影響について解析を進めていく。さらに、CHIPシークエンスを用いて、どのような遺伝子の発現に影響が及んでいるかの評価も行う方針である。また、加えて、AMLの細胞株を用いて、ヒストン修飾を調整することで、どのような変化が生じ得るのかin vivoにおける評価も進めていく方針である。
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Causes of Carryover |
今後、CHIPシークエンスや細胞実験を行う予定である。また、検体の集積がさらに進むにつれ、各種、免疫染色を行うための抗体、試薬も必要となる。これらの実験を行うにあたり、検体提出にかかる費用や消耗品としての物品費が主に必要となるが、実験の進行状況に応じて、これらの費用は使用させて頂く必要があり、コロナウイルス感染の蔓延に伴い、研究の実施状況が一部遅滞し、当該助成金が発生する状況となった。したがって、当該助成金および翌年度の助成金はこられの検体提出費用および物品費として使用する予定である。
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