2022 Fiscal Year Annual Research Report
小児・AYA世代AMLにおけるヒストン修飾に着目した予後因子の確立と治療開発
Project/Area Number |
20K16895
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 洋徳 大分大学, 医学部, 客員研究員 (70727966)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 小児 / AYA世代 / H3K27me3 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小児・AYA世代のAMLにおけるH3K4me3およびH3K27me3発現の解析を行い、ヒストン低メチル化が小児AMLにおける治療抵抗性の要因となるかを明らかにすることを目的とした研究である。本研究の研究成果としては、小児AML症例の臨床データと検体の集積・収集を目的として、JCCG(Japan Children’s Cancer Group)に所属する共同研究施設の臨床データ、骨髄クロット検体を収集し、AML細胞のH3K4およびH3K27me3について免疫染色を行ない、発現評価スコア(IRS)による評価を行い、小児AMLでH3K27me3低下が予後不良に関連するという結果を得た。また、H3K27me3の低下した患者AMLサンプルは、高い群に比して、治療抵抗性遺伝子の発現が上昇しているという結果をRNA-seq解析により、得た。さらに、細胞株を用いて、H3K27me3の脱メチル化阻害剤を用いることで、H3K27me3を回復させて、遺伝子発現に変化が生じ、治療抵抗性の改善がもたらされるという結果を得た。これらの結果について、現在、論文報告に向けて投稿準備を進めている。また、白血病以外の腫瘍病態とヒストンメチル化との関連性を明らかにするために、稀な小児期膵芽腫例においてH3K27me3の状態を評価し、RAS-MAPキナーゼパスウェイの亢進を示し、その病態を解明した。 今後は、白血病細胞および小児期発症のその他の固形腫瘍においても、H3K27のメチル化修飾の意義と、その変化によってもたらさられる下流のパスウェイを明らかにしていくことで、ヒストンメチル化修飾および、その変化により転写調整されている遺伝子をターゲットとした治療方法の開発を行うために、研究を継続して行っていく方針である。
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Research Products
(1 results)