2020 Fiscal Year Research-status Report
STXBP1 haploinsufficiency impairs membrane trafficking and dendrite growth
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20K16898
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
戸澤 雄紀 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30804950)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | STXBP1脳症 / Munc18-1 / syntaxin1A / MyosinVa / 膜輸送障害 / 蛋白質異常凝集 / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
STXBP1脳症の病態機序として、STXBP1の遺伝子産物であるMunc18-1のハプロ不全によりシナプス関連蛋白質の輸送障害が起こり、その結果神経変性が引き起こされると仮説を立て、PC12細胞を用いて Munc18-1の細胞内輸送に関わる新規相互作用因子の検索をAffinity purificationとLC-MS/MS解析を組み合わせて行なった。 Munc18-1のC末端の配列の異なるlongとshortの2つのisoformについてスクリーニング解析を行なったが、双方とも新規相互作用因子として中枢神経に豊富に存在するモーター蛋白質 MyosinVaが候補として上がった。MyosinVaはマウス脳に広範囲に発現し、Munc18-1 short isoformやsyntaxin1Aと共に胎生早期から発現しており、Munc18-1のisoform特異的な抗体を用いたマウス脳の内在性蛋白質における相互免疫共沈降実験では、Munc18-1 short isoformがsyntaxin1Aと共にMyosinVaと複合体を形成している可能性が示唆された。またマウス脳組織や初代培養海馬神経細胞の免疫染色でもMyosinVaはMunc18-1short isoformと共局在していることが分かった。 次に、Munc18-1のハプロ不全がsyntaxin1Aの膜への輸送障害を引き起こすかを評価するために、shRNAレンチウィルスパーティクルを用いたマウス初代培養海馬神経細胞のMunc18-1ノックダウン(KD)を行なった。マウス初代培養海馬神経細胞のMunc18-1KDでは蛋白質レベルで50%程度のKDが確認でき、現在海馬神経細胞におけるMunc18-1のハプロ不全がsyntaxin1Aの膜輸送にどのような影響を与えるかを共焦点レーザー顕微鏡を用いて評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Munc18-1の新規相互作用因子の候補であるMyosinVaとの免疫共沈降実験や細胞内局在の評価は予定通り行えている。Mun18-1のハプロ不全の表現形の評価のために、shRNAレンチウィルスパーティクルによるKD実験を行なっているが、Neuro2Aを用いたMunc18-1KD効果の検証ではmRNA、蛋白質レベルで共に30%程度のKD効果が確認でき、海馬初代培養では蛋白質レベルで50%程度のKD効果が確認できた。現在このモデルを使用して、synatxin1Aの膜輸送障害や神経細胞の形態の評価を行なっている。 しかし今後、ヒト疾患モデルとして評価する予定としているSTXBP1脳症nonsense変異患者由来のiPS細胞を分化誘導したグルタミン酸ニューロンでは、mRNAレベルでは50%程度まで発現量の低下を認めるものの、蛋白質レベルでは80%程度までの減少にとどまり、ハプロ不全のモデルとして適切かを引き続き検証していく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験結果より、Munc18-1の新規相互作用因子の候補として上がったMyosinVaが、神経細胞においてsyntaxin1AとともにMunc18-1と複合体を形成している可能性が高いことが分かった。現在MyosinVaのMunc18-1やsyntaxin1Aとの結合部位の解析やリン酸化の影響などを検証するためにタグ付きリコンビナント蛋白質を用いた解析を行なっている。 syntaxin1Aが適切に膜へ輸送されるためには、Munc18-1を介したモーター蛋白質MyosinVaへの結合が重要であり、Munc18-1のハプロ不全により、その結合が阻害されることでsyntaxin1Aの膜輸送障害が起きることが予想される。この仮説を検証するために、まず我々の用いるマウス初代培養海馬神経細胞のMunc18-1 KDモデルにおいて、syntaxin1Aのゴルジ体への異常凝集や膜輸送障害が起こっていることを共焦点レーザー顕微鏡を用いて確認する。次に、syntaxin1Aの膜への輸送には、Munc18-1を介したMyosinVaとの結合が必要であることを検証するために、MyosinVaをKDさせたマウス初代培養海馬神経細胞においても同様にsyntaxin1Aの膜輸送障害が起きることを確認する。最後にSTXBP1脳症nonsense変異患者由来iPS細胞を分化誘導したグルタミン酸ニューロンを用いて、ヒト疾患モデルにおいてもsynatxin1Aの膜輸送障害が起きていることを確認し、蛋白質の異常凝集やオートファジー、神経変性が起こる機序について検証していく予定である。
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Research Products
(1 results)