2022 Fiscal Year Research-status Report
シクロスポリン腎毒性を非侵襲的に評価するバイオマーカープロファイリングの構築
Project/Area Number |
20K16900
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 侑 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10815872)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ネフローゼ症候群 / シクロスポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
小児特発性ネフローゼ症候群は、高度タンパク尿・低タンパク血症・全身性の浮腫を呈する疾患で、小児の糸球体疾患の中で最も多い。難治例では免疫抑制薬シクロスポリンによる治療を要するが、シクロスポリンには腎毒性があるため、侵襲性の高い腎生検での評価を要する。一方、バイオマーカーを用いた尿検査は非侵襲的で、迅速に腎臓の状態を反映すると言われるが、非特異的な上昇も多く、課題も多い。本研究では、リアルタイムPCRを活用し、シクロスポリン腎毒性に特異的なバイオマーカー群の特定を目的とする。 前年度より引き続きサンプル数を増やしていく作業に従事した。対象患者が新たにシクロスポリンを導入する時や、腎生検で入院する時、シクロスポリン治療中に関わらず再発する時、治療後にシクロスポリンを漸減する時、など、バリエーションに富んだサンプルを集めていくことも行い、解析に必要と見込まれるサンプル数の確保に成功した。 また、実際に得られたサンプルから得られたRNAの発現量をリアルタイムPCRで測定する作業も継続した。 今後は1.SRNSやFRNSに特異的な尿中バイオマーカーはないか、2.血中シクロスポリン濃度や尿β 2マイクログロブリンと相関する尿バイオマーカーはないか、3.バイオマーカーの最適な組み合わせ(プロファイリング)はどれか、などを明らかにするためにリアルタイムPCRを進めていく予定である。 本研究の成果により、シクロスポリンの腎毒性に特異的な尿バイオマーカー群を特定できれば、侵襲性の高い腎生検をせずに、シクロスポリン腎毒性を非侵襲的に評価できる。さらには早期診断・予後予測法の確立に繋がることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定通り、採取検体のリアルタイムPCRは開始できている。ただし、新型コロナ流行の影響に伴う試薬の入手困難が影響したこと、患者の受診控えなどもあり、本年度で検体数はなんとか確保できたとは言え、当初の予定通りの機関での確保および測定はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている分のPCR測定を順次すすめていく。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、採取検体のリアルタイムPCRを完了する予定であったが、新型コロナ流行の影響に伴う検体および試薬の入手困難が持続していた影響もあり、当初の想定通りの検体数を測定できなかった。 次年度には未施行の検体測定を行うので、その費用を繰越金で賄う。
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