2023 Fiscal Year Research-status Report
シクロスポリン腎毒性を非侵襲的に評価するバイオマーカープロファイリングの構築
Project/Area Number |
20K16900
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 侑 和歌山県立医科大学, 医学部, 客員研究員 (10815872)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ネフローゼ症候群 / シクロスポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
小児特発性ネフローゼ症候群は、高度タンパク尿・低タンパク血症・全身性の浮腫を呈する疾患で、小児の糸球体疾患の中で最も多い。難治例では免疫抑制薬シクロスポリンによる治療を要するが、シクロスポリンには腎毒性があるため、侵襲性の高い腎生検での評価を要する。一方、バイオマーカーを用いた尿検査は非侵襲的で、迅速に腎臓の状態を反映すると言われるが、非特異的な上昇も多く、課題も多い。 本研究では、リアルタイムPCRを活用し、シクロスポリン腎毒性に特異的なバイオマーカー群の特定を目的とする。 ネフローゼ症候群をはじめとした腎疾患に罹患した患者より尿の提供を受け、前年度までで解析に必要と見込まれるサンプル数の確保には成功している。 前年度より引き続き、サンプルから得られたRNAの発現量をリアルタイムPCRで測定する作業を継続した。 今後は1.SRNSやFRNSに特異的な尿中バイオマーカーはないか、2.血中シクロスポリン濃度や尿β 2マイクログロブリンと相関する尿バイオマーカーはないか、3.バイオマーカーの最適な組み合わせ(プロファイリング)はどれか、などを明らかにするためにリアルタイムPCRを進めていく予定である。 本研究の成果により、シクロスポリンの腎毒性に特異的な尿バイオマーカー群を特定できれば、侵襲性の高い腎生検をせずに、シクロスポリン腎毒性を非侵襲的に評価できる。さらには早期診断・予後予測法の確立に繋がることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
採取検体は必要数確保できており、リアルタイムPCRを適宜施行進めていく段階である。ただし、新型コロナ流行の影響に伴う試薬の入手困難が影響したこと、代表研究者の移動による職種変更などにより、当初の予定通りの測定数は施行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている分のPCR測定を順次すすめていく。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、採取検体のリアルタイムPCRを完了する予定であったが、当初の想定通りの検体数を測定できなかった。 次年度には未施行の検体測定を行うので、その費用を繰越金で賄う。
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