2021 Fiscal Year Annual Research Report
シングルセルRNAシーケンシングを用いたヒト羊水幹細胞の新規単離法の開発
Project/Area Number |
20K16903
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大石 真希 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80866822)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 羊水幹細胞 / シングルセル解析 / sc-RNA seq |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、ヒト羊水幹細胞(Human amniotic fluid stem cells; hAFSC)を用いた周産期難治性疾患の新規治療法の開発を目的に研究を行っている。羊水からhAFSCを分離するために、現在広く用いられている方法は、表面抗原マーカーCD117陽性の細胞集団を抗体磁気ビーズで収集する方法である(以下、従来法と呼称する)。しかし、従来法で単離される細胞は、形態的に不均一であり、複数の性質をもつ細胞集団が混在していると推測される。より治療効果の高い細胞集団のみを単離する方法の開発が、今後の臨床応用に重要であると考えられた。 本研究においては、多様な細胞によって構成されるhAFSCをシングルセルRNAシーケンシングで解析し、治療効果の根幹を担うと推測されている細胞外小胞(Extracellular Vesicles; EVs)に関連した遺伝子を有意に多く発現している集団に特徴的な表面抗原マーカーを探索した。 複数の候補のなかから、フローサイトメーターで安定した単離が可能なものを選定し、当該の表面抗原に陽性の細胞集団を単離することに成功した(以下、新規法と呼称する)。また、申請者らのグループで取り組んでいるin vitroの研究で、hAFSCが抗炎症作用をもつタンパク質を分泌し、さらにその作用は、hAFSCをプラスチック培養皿で平面培養するよりも、超低接着プレートでスフェロイドを形成して3次元培養すると強化されることが示された。これを受けて、新規法で単離した細胞をスフェロイド培養したところ、従来法の細胞と比較して新規法の細胞は、有意に多く抗炎症作用を持つタンパク質を発現していることが明らかになった。 これらのことから、シングルセルRNAシーケンシングで見いだされた細胞集団は、従来法で単離された細胞よりも高い抗炎症作用を持つ可能性がある。今後、新規法で単離した細胞のin vivoにおける治療効果を、従来法の細胞と比較する研究を遂行したい。
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