2021 Fiscal Year Annual Research Report
小児骨肉腫におけるBRCAnessと化学療法感受性に関する検討
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20K16904
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山崎 文登 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70529354)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | BRCAness / 化学療法感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児・AYA骨肉腫のゲノム不安定性が相同組み換え修復機能の異常によるものと考えて、BRCAnessを指標としてこの機序の関与の説明を試みることを目的に、コピー数異常に着目した各種スコアリング(LOH, TAI, LST)でBRCAnessの強弱を調べた。 先立って行った骨肉腫5例を含む53例のAYA世代肉腫の全エクソン解析の結果に対してのこれらのスコアリングでは、LOHスコアとsignature 3(BRCAnessと関連する変異シグネチャーとされる)が最も強い相関関係にあったため、以後の検討ををLOHスコアを用いて行った。 小児・AYA骨肉腫20例のSNPアレイのLOHスコアはBRCA1/2が正常の乳がんより高く、BRCA1/2が不活性化した乳がんと同等の水準であった。全エクソン解析を実施しLOHスコアを算出した6例の結果も含めて、腫瘍壊死率との関連を調べたところ、高いLOHスコア(13以上)の9例中8例が治療反応良好であったのに対し、低いLOHスコアでは15例中7例であった(P=0.08)。このことから、LOHスコアが化学療法感受性予測マーカーとなり得る可能性が示唆された。また、限局例において高LOHスコア10例が低LOHスコア8例に比べて再発が少ない傾向(5年無再発生存率60% vs 25%, P=0.19)を示していた。 またコピー数解析で、染色体レベルでは1p, 8q, 17p amplification (>4 copies) および3p, 6q, 20p loss (<2 copies) が見られた。遺伝子レベルではCOPS3, PRKDC, RAD21, CCNE1, FLCN, MYC, CCND3, RAC1, HSP90AB1, VEGFA amplificaitonが、CDKN2A/B, RB1 lossが高頻度に見られ、既報の結果を支持するものであった。
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