2021 Fiscal Year Research-status Report
人工子宮システムに胎盤の内分泌作用として付与するCRH持続投与の有効性の検討
Project/Area Number |
20K16913
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 信一 東北大学, 大学病院, 助手 (30770359)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ヒツジ / 人工子宮 / 人工胎盤 / グルココルチコイド |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれはヒト妊娠24週相当の未熟なヒツジ胎仔を人工子宮システムにより成育できることを報告した.これにより胎児循環から新生児循環への強制的な適応を回避し,後遺症なき生存を達成できる可能性がある.その一方で多量の副腎皮質ステロイドの投与を余儀なくされる.これは本来の胎盤から胎仔が切り離されるため,母体と胎盤との相互作用による胎仔の副腎皮質機能の成熟が不十分である可能性を示唆する.そこで本研究では,妊娠95日(ヒト妊娠24週相当)のヒツジ胎仔に,本来は胎盤から分泌されるcorticotropin-releasing hormone (CRH)を補充しながら人工子宮システムで5日間成育させ,母獣の子宮内で育った妊娠100日の胎仔と同等の副腎皮質機能の成熟が得られるか検証する. 令和3年度には妊娠94-95日のヒツジ胎仔に人工子宮システムを装着し,CRHを持続静注しながら120時間の生育を試みる実験を4回予定した.1例は人工子宮システムを装着し成育したのち,内分泌学的機能を評価するためCRH負荷試験を施行できた.人工子宮システム装着下でのグルココルチコイドの投与は不要であった.一方で3例は人工子宮システムを装着後にCRH持続静注のみでは胎児水腫を伴う循環不全となり,グルココルチコイドの補充を必要とした.また対照群として妊娠95日のヒツジ胎仔3例を母獣の子宮内で成育させ,CRH負荷試験や生化学的データを収集し,妊娠100日に剖検を行い,病理組織を採取した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は人工子宮+CRH群を5例実施する予定だったが,1例は重度の子宮内胎仔発育遅延のため除外し,4例の実験行った.対照群3例は予定通り実施した.そのためデータを採取したのは合わせて7例であったため進捗はやや遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に実施した人工子宮+CRH群2例の結果から,CRHを持続静注すればグルココルチコイドの補充を要しない可能性が高いと考えられていた.しかし令和3年度は同様な管理では4例中3例が胎児水腫を伴う循環不全となり,グルココルチコイドの補充を必要とした.未熟な胎児副腎におけるステロイド合成酵素の発現の程度により,CRHの持続静注のみでは管理できない可能性が指摘された.今後は必要最小限量のステロイド補充が未熟な胎仔の循環管理には必要であることの検証が必要である.
|
Causes of Carryover |
令和3年度は人工子宮+CRH群5例と対照群3例を実施予定であったが, 1例は重度の子宮内胎仔発育遅延のため除外された.実施できなかった実験に要する消耗品代金は少額であるが次年度に繰り越すこととした.
|