2023 Fiscal Year Annual Research Report
有核赤血球による胎児および新生児の免疫抑制機構の解明
Project/Area Number |
20K16914
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹内 秀輔 筑波大学, 附属病院, 病院助教 (80828046)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有核赤血球 / ハプトグロビン / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
臍帯血由来の有核赤血球とLPS刺激した成人血由来の単球を非接触条件で共培養するとIL-10産生が増加する。この抑制作用を介在する物質の探索を行った。有核赤血球は臍帯血に豊富に含まれ、胎児期は生理的多血で赤血球寿命も短縮している。多量のヘモグロビン処理にはCD163‐HO-1が重要である。HO-1欠損症では溶血に加えて有核赤血球の増加と著明な全身性の炎症を呈することが報告されており、CD163‐HO軸に関連する物質がこのIL-10産生を主体とした抑制機構に関与していると推定した。 まず臍帯血由来の有核赤血球とLPS刺激した臍帯血由来単球による非接触条件での共培養を実施し、成人血由来単球と同様にIL-10産生の増加を確認した。有核赤血球のコントロールとして、臍帯血由来成熟赤血球を用いた共培養も実施したが、そちらではIL-10の産生は増加しなかった。 続いて、CD163‐HO軸が関与していることを確認するために、上記の共培養に抗CD163抗体やHO-1阻害作用のZnPP-Ⅸを添加し、IL-10の産生が減少することを確認した。 有核赤血球はCD163のリガンドであるヘモグロビン・ハプトグロビン複合体に必要なハプトグロビンを産生すると推定し、ELISAを実施した。LPS刺激した単球と成熟赤血球、有核赤血球それぞれの単独と、LPS刺激した単球と成熟赤血球もしくは有核赤血球で実施し、有核赤血球の存在する培養系に有意なハプトグロビンの存在を確認した。 さらに、共培養系で単球によるハプトグロビン産生ではないことを確認するために、単球と有核赤血球を回収してPCRを実施し、有核赤血球に有意な遺伝子発現を認めた。
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