2022 Fiscal Year Research-status Report
The role of microglia in periventricular leukomalacia
Project/Area Number |
20K16915
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
利光 正岳 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00843400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳室周囲白質軟化症 / 子宮内感染 / 虚血 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクログリアの観点から早産児脳室周囲白質軟化症(PVL)の病態解明: 実臨床にそった, 細菌感染を模倣したLPS投与と低酸素・虚血負荷の組み合わせ(2段階刺激)により惹起されるPVLモデルを仔ラットで確立し, 表現型と脳の病理組織像, 脳実質のサイトカインや神経伝達物質の動態をもとに, ミクログリアの病態と脳発達への関与について明らかにする. 結果1: 新生仔ラットにLPS腹腔内投与と片側頸動脈結紮・切断, 低酸素負荷の2段階処置を行い, 2段階処置後の新生仔ラットを母獣ラットが育児することを確認した。処置をした新生仔ラットは非処置群と比較して, 体重ならびに脳重量の増加が低下し、けいれんが観察された。 結果2: 感染・低酸素虚血の2段階刺激(LPS投与, 生後の低酸素・虚血負荷)を受けた新生仔ラットは片側頸動脈結紮・切断, 低酸素負荷のみの群に比較して, 脳組織のHE染色, KB染色における脳組織損傷の程度が強くなる傾向を確認した。脳組織損傷の程度に幅があり, 飼育数を制限しても同様であり, LPS投与の手技が結果のばらつきに影響している可能性がある。 結果3: In vivo 実験を模して, LPSならびに低酸素, 神経伝達物質で刺激したミクログリアの炎症・抗炎症動態を明らかにする. 新生仔ラット脳から初代培養ミクログリアをおこし, LPSによる炎症性サイトカイン(IL-1β, iNOS)産生(mRNA, 蛋白)の上昇, LPSと神経伝達物質ノルエピネフリン同時投与にて炎症性サイトカイン産生の抑制を確認した. 低酸素刺激では炎症性サイトカインの産生は抑制された. 低酸素刺激で炎症物質の産生が抑制されたが, 細胞自体が死滅している可能性があり, 細胞が傷害されない程度の低酸素刺激条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の実験プロトコールは, ヒト実地臨床に即して, 妊娠母獣ラットにLPS腹腔内投与を行い, その妊娠母獣ラットから生まれた新生仔ラットに頸動脈結紮・切断, 低酸素負荷を行うものであった。しかしながら, 新生仔ラットの致死率, 体重, 脳の組織学損傷にばらつきが生じており, プロトコールを変更(妊娠母獣ラットに処置は加えず, 生まれた新生仔ラットにLPS腹腔内投与と頸動脈結紮・切断, 低酸素負荷を実施している)したが, LPS投与の手技によるものか脳損傷程度にばらつきを認めている。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoでの表現型の幅が一定したら, 行動解析, 脳組織学的評価, 神経伝達物質の解析を行う。
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Causes of Carryover |
動物の搬入, 飼育, 実験における試薬などの消耗品の補充のため.
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