2023 Fiscal Year Research-status Report
WT1遺伝子異常症に対する病態解明と新規治療法の開発
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20K16926
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長野 智那 神戸大学, 医学研究科, 助教 (60814316)
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Project Period (FY) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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Keywords | WT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
WT1病的バリアントの中で一番頻度の高いのはExon9のDNA結合サイトの1つであるAA467にあるアルギニンがトリプトファンに置換されるバリアントである。最近、我々は同じ位置のアミノ酸がグルタミンに置換された症例を経験した。この症例は乳児期早期に腎症を発症し急激に末期腎不全に至る症例であったため、同じ位置のアミノ酸変化でも重症度に差があるのではないかと考え過去の報告から検討を行った。過去の報告は54例あり、43例がトリプトファンへの置換、6例がグルタミンへの置換、その他はロイシン、プロリへの置換が2例ずつ、グリシンへの置換が1例であった。グルタミンに置換された症例(n=6)はその他のアミノ酸に置換された症例(n=48)と比較すると、腎症発症時年齢が有意に低く、また末期腎不全への到達年齢も早い事を発見した。同じアミノ酸の変化でも転写活性の変化が症状の違いをもたらす可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年々、WT1病的バリアントの同定が進んでいるため、より詳細に臨床症状とバリアントの関係を検討することにより同疾患の病態解明につながる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回発見した乳児期早期に発症し重症な臨床症状を呈するバリアント(グルタミンへの置換)に対し、ルシフェラーゼアッセイを用いて転写因子活性の測定を行う。頻度の高いアルギニンへの置換と比較し、転写因子活性の比較を行い臨床症状との合致を証明する予定である。
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Causes of Carryover |
機能解析体制の再確立のために時間を要したため、次年度へ持ち越しとした。 現在、解析体制を再確立したため予定通り機能解析を行う。
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