2020 Fiscal Year Research-status Report
アンチセンス核酸によるPHOX2B (+7Ala mutant)の発現抑制
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20K16927
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福嶋 祥代 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (20866032)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アンチセンス核酸 / PHOX2B / CCHS / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性中枢性低換気症候群(CCHS)は、基本病態である低換気に対して根本的な治療法が なく、患児は終日人工呼吸管理を要する。CCHSはPHOX2B遺伝子の変異が原因で引き起こされる。PHOX2B遺伝子変異の内、90%以上で20ポリアラニン鎖における4~13個のアラニン伸長変異(polyalanine repeat expansion mutations:PARM)が検出され、中でも7アラニン伸長変異PHOX2B(+7Ala mutant)が一番多い。 機能障害を引き起こすPHOX2Bアラニン伸長変異の発現を抑制することがCCHSの治療法になりうると考えられることから、本研究では、CCHSの治療法開発の第一歩として、PHOX2Bの7アラニン伸長変異 (+7Ala mutant)の発現を特異的に抑制するアンチセンス核酸(AO)取得する。 本年度は、①PHOX2B (+7Ala mutant)を有するCCHS患児より血液サンプルを収集、DNA抽出を行い、ハプロタイプの同定を行った。②AO評価系の構築のため、患者ゲノムDNAよりPHOX2B(+7Ala mutant)のミニ遺伝子を作製した。③①で同定したPHOX2B (+7Ala mutant)特異的にワークするAOを設計した。④患者由来の単核球にセンダイウイルスベクターを用いて初期化遺伝子を導入し、未分化マーカーの発現確認、In vitroでの三胚葉への分化の確認、核型解析を経て、4株のiPS細胞を樹立した。 最終目標であるPHOX2B(+7Alamutant)の発現を特異的に抑制するAOの取得に向けて、今年度はAOスクリーニングを行う基盤を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PHOX2B (+7Ala mutant)を有するCCHS患児由来gDNAのハプロタイプの同定、AOの設計を行った。また患者検体由来gDNAよりミニ遺伝子を作製に成功した。さらに患者由来の血液サンプルよりiPS細胞を4株樹立し、アンチセンス核酸のスクリーニングを行う準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、PHOX2B(+7Alamutant)ミニ遺伝子、iPS細胞を分化させた神経細胞を用いて、PHOX2B(+7Alamutant)の発現を特異的に抑制するAOを取得する。まずミニ遺伝子を用いてPHOX2B (+7Ala mutant)特異的に作用し、スプライシングを抑制することでそのmRNAを低下させるAOをスクリーニングする。次に、樹立した患者由来iPS細胞を神経細胞へ分化させ、スクリーニングで得られた最有効AOを投与し、PHOX2B (+7Ala mutant)の発現を特異的に抑制するか検証する。
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Causes of Carryover |
本年度において、予定していた患者由来iPS細胞の神経細胞への分化誘導のための試薬代・備品代を使用しなかった。次年度以降に使用する予定としている。
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