2022 Fiscal Year Annual Research Report
NK細胞機能に着目した全身型若年性特発性関節炎の病態解析
Project/Area Number |
20K16931
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大宅 喬 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (80846668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NK細胞機能障害 / 全身型若年性特発性関節炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、全身型若年性特発性関節炎(sJIA)患者のNK細胞におけるInterleukin(IL)-18シグナル障害を証明するとともに、このシグナル障害の機序と病態への影響解明を目指すことを目的としている。 前年度までに、無治療急性期6例、再燃2例、関節炎を伴う慢性期7例、治療による寛解10例、無治療寛解6例の計31例において、natural killer(NK)細胞のIL-18シグナルの評価を行い、急性期や関節炎を伴う慢性期症例のNK細胞には強いIL-18シグナル障害がみられることを明らかにした。また、健常人末梢血単核球をrecombinant human IL-18(rhIL-18)と共に培養しIL-18シグナルの評価を行ったところ、rhIL-18濃度依存的にシグナル障害が確認でき、sJIA症例で見られるNK細胞のIL-18シグナル障害が高濃度IL-18によって引き起こされる2次的なものであることを明らかにした。今年度は、引き続き、無治療急性期にリクルートした症例の経時的な変化についての評価を実施した。IL-18シグナル障害の程度が、症状の軽快、血清IL-18値の低下に伴い軽くなる傾向は以前の解析と同様であった。これまでの解析結果より、sJIAにおいて、NK細胞のIL-18シグナル障害は臨床症状と相関し、病勢を見極める上でのバイオマーカーとして応用できる可能性がある。また、以前より知られたバイオマーカーである血清IL-18値に比較して、NK細胞のIL-18シグナル障害の程度をみることは細胞の機能面での評価であるため、より病態を反映していると考えられる。 今後、症例数を増し、NK細胞のIL-18シグナル障害の程度がバイオマーカーとして応用可能かを評価するとともに、NK細胞のIL-18シグナル障害が引き起こす詳細なメカニズムについて解析していく。
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