2021 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺におけるヨード動態の解明とSLC26A7遺伝子異常の診療戦略の確立
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20K16934
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
青山 幸平 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40812095)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SLC26A7 / 先天性甲状腺機能低下症 / ヨードトランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちが研究を進めているSLC26A7のヨードトランスポーターとしての機能評価の目的で、既知のヨードトランスポーターであるSLC26A4と、SLC26A7の相互関係を調べるため、各々についてCRISPR-Cas9によりノックアウトマウスを作成した。更にそれらのダブルノックアウトマウスも作成した。これらについて、甲状腺腫大の程度や甲状腺機能、体重増加について評価を行った。SLC26A4ノックアウトマウスは甲状腺機能低下症を認めないが、一方、SLC26A7ノックアウトマウスは甲状腺機能低下症を認めた。また、これらのマウスを低ヨード環境にさらして、同様に評価をした。SLC26A7ノックアウトマウスでは、低ヨード環境下で体重増加不良を認め、これは甲状腺ホルモン内服にてある程度回復を認めた。ダブルノックアウトマウスは通常食でも成長障害が強く、低ヨード環境下の場合は、離乳後に全仔死亡した。野生型マウスのRNA-seqによる甲状腺の遺伝子発現解析では、Slc26a7はSlc26a4と比較して明らかに発現量が多かった。またSlc26a7KOマウスではSlc26a4を含む既知のヨードトランスポーター遺伝子の多くで発現が有意に増加していることが確認された。私たちの研究結果により、SLC26A7はヨードトランスポーターとして、マウスにおいてはSLC26A4と比べてより重要性が高いことが示唆された。 SLC26A7遺伝子異常の新規患者の探索においては新たな患者は見つかっていない。多数の先天性甲状腺機能低下症の患者解析結果からSLC26A7異常症の割合は非常に低く、先天性甲状腺機能低下症に占める頻度は低いと考えられた。ただし、軽症例はマススクリーニングで同定されていないことも想定されており、疾患頻度は未だ明らかではない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SLC26A7ノックアウトマウスの解析は、概ね予定していたものは終了した。SLC26A7異常症の新規患者が同定できておらず、疫学的な調査はほとんど明かされていない。
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Strategy for Future Research Activity |
甲状腺のヨードトランスポーターは管腔側にSLC26A7、SLC26A4が存在すると考えられており、血管側にはSLC5A5が存在する。SLC5A5との相互関係については検討がされておらず、SLC5A5ノックアウトマウスとの表現型の違いや、3つの遺伝子の相互関係について確認していく。また、SLC26A7異常症の新規患者探索も引き続き続けていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックにより国際学会発表の渡航が不要となったため。また、ノックアウトマウスの作成、進行が想定より進まなかったため。
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