2020 Fiscal Year Research-status Report
早期診断のためのシスチノーシス(シスチン蓄積症)バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
20K16943
|
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
清水 有紀子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 動物実験施設 専任研究員 (00469983)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | シスチノーシス / 希少疾患 / ラット / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
シスチノーシス(シスチン蓄積症)は、CTNS遺伝子変異によりライソゾームにシスチンが蓄積することで、未治療だと10歳前後で腎不全に至る難治性の常染色体劣性遺伝疾患である。早期診断早期治療により劇的に予後が改善するが、現在の確定診断法では早期診断は困難である。本研究は、希少疾患であるシスチノーシスのモデルラットを用いて、プロテオーム解析およびメタボローム解析を行うことにより疾患特異的に変動するタンパク質を検出し、早期診断に有用なバイオマーカーを同定する。さらに、それらの機能解析から新たな創薬シーズを見つけ、ヒト臨床検体を用いて検証することを最終目的とし、その研究基盤を構築することを目的としている。 申請者らは、シスチノーシスの原因遺伝子であるCtns遺伝子を欠損したラットの臓器および胚線維芽細胞(REF)において著しいシスチンの蓄積が認め疾患モデルとして有用であることを既に報告している。本年度はシスチノーシスモデルラット由来のREFを用いたプロテオーム解析およびメタボローム解析を行い、シスチノーシスの有無により特異的に変化するタンパク質および代謝化合物の同定を試みた。プロテオーム解析では、シスチノーシスモデルラット由来の細胞株においてコントロール株と比較して有意に増加したタンパク質は12個あり、逆にシスチノーシスモデルラット由来の細胞株において減少したタンパク質は46個であった。メタボローム解析では代謝化合物175個が検出され、そのうち有意水準p<0.001を示した代謝化合物は4個であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画どおり、REFを用いたプロテオーム解析およびメタボローム解析を行なった。これらの結果を基にバイオマーカー候補となる生体成分の同定を試みている。血液を用いた解析が行えていないものの、先行して疾患特異的な代謝物の絶対定量に向けた測定系の確立に着手しており、進捗状況としては概ね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られたプロテオーム解析およびメタボローム解析の結果を基に、バイオマーカーの同定する。またヒト正常Ctns遺伝子のNおよびC末端にFLAGタグをつけたプラスミドDNAを作成し、ヒトHEK293T細胞に導入する。同時に、我々が同定した日本人特有のCTNS遺伝子変異を導入したCtns遺伝子変異株も作成する。免疫沈降法を用いてタンパク質複合体を調整した後、LC/MS/MSを用いて解析し、野生株と変異株を比較することで、疾患特異的に相互作用を有する生体物質を同定し、機能を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
本年度に予定していた血液のメタボローム解析が未実施となってしまった為、次年度に実施する予定であり、約26万円を繰り越した。
|