2021 Fiscal Year Research-status Report
早期診断のためのシスチノーシス(シスチン蓄積症)バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
20K16943
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
清水 有紀子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 動物実験施設 専任研究員 (00469983)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シスチノーシス / 早期診断 / バイオマーカー / 微量金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
シスチノーシス(シスチン蓄積症)は、CTNS遺伝子変異によりライソゾームにシスチンが蓄積することで、未治療だと10歳前後で腎不全に至る難治性の常染色体劣性遺伝疾患である。現在の確定診断法では早期診断は困難であるが、早期診断早期治療により劇的に予後が改善するため、本研究は早期診断に有用なバイオマーカーを同定することを目的とした。現在までに、REFを用いたプロテオーム解析およびメタボローム解析により、シスチノーシスの有無により特異的に変化するタンパク質および代謝物候補を同定している。本年度は下記の解析を行った。 1)シスチン代謝関連タンパク質の解析:候補タンパク質cymp A (cystine metabolism protein A)はプロテオーム解析においてもっとも発現が増加していたタンパク質であり、cymp Aが金属プロテイン酵素に属するタンパク質であることから、血清中の金属を測定し、バイオマーカーとしての有用性を解析した。8週齢のシスチノーシスモデルラットおよびコントロールラット(F344系統)より採取した血清中の微量金属を測定した。測定した19種類の微量金属のうち3個の微量金属(p<0.05)および6個の微量金属(p<0.005)について増加が認められた。また候補タンパク質cymp B (cystine metabolism protein B)に関しては、cymp Bの基質であるグルタチオンを測定したところ、Ctns遺伝子を欠損させることより上昇傾向を示すことが明らかになった。 2)シスチン代謝関連代謝物の解析:メタボローム解析により統計学的に有意増加した代謝物の一つであるチアプロチンに対し、HPLCを用いた測定法の立ち上げを行い、シスチノーシスラットおよびコントロールラット血清中のチアプロリンを測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はシスチン代謝関連タンパク質として同定したcymp Aおよび cymp Bについて解析を進めた。 またcymp Aと関連すると推定された微量金属についてシスチノーシスモデルラットを用いて解析を進めた。更に、シスチノーシスに特異的な代謝物と同定されたチアプロリンに関して定量法は立ち上げ済みであり、現在血液中の濃度を測定し、パイオマーカーとしての有用性を検討中である。進捗状況としては概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の解析をもとに、cymp Aおよび cymp Bについて機能解析を行うことによりシスチノーシスとの関連を明らかにしていく。またチオプロリンのバイオマーカーとしての有用性を明らかにする。一方で我々の先行研究にてシスチン代謝に関連する候補遺伝子cysaとして同定した芳香族炭化水素受容体遺伝子はcymp Bと同類の作用を保持している。関連タンパク質の解析と並行して、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集技術によりCtns遺伝子を欠損させたマウスにcysa遺伝子変異を導入することで、シスチン代謝との関連を検証していく。さらに、シスチン代謝と関連があると確認ができたタンパク質および代謝物が臨床検体でと相関しているかを確認するために、シスチノーシス患者由来のリンパ芽球様細胞を用いて検証を行う。
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Causes of Carryover |
本年度に予定していた血液の微量金属解析において受託解析を実施したが、ディスカウント期間で予算の1/3で解析が実施できたため、約30万円を繰り越した。次年度に経時的な変化を観察するために追加解析を実施する予定である。
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[Journal Article] Determination of phenylalanine enantiomers in the plasma and urine of mammals and ᴅ-amino acid oxidase deficient rodents using two-dimensional high-performance liquid chromatography2021
Author(s)
Hsiao SW, Ishii C, Furusho A, Hsieh CL, Akita T, Mita M, Okamura T, Konno R, Ide T, Lee CK, Hamase K
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Journal Title
Biochim Biophys Acta Proteins Proteom
Volume: 1869
Pages: 140540
DOI
Peer Reviewed
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