2021 Fiscal Year Research-status Report
腸管上皮細胞における小胞体ストレス応答関連分子CHOPの役割の解析
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20K16949
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
下平 陽介 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (20777982)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CHOP / 腸炎 / 腸管上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究者はCHOPfloxマウスおよびvillin-Creマウスを入手し、交配させることで腸管上皮特異的CHOPノックアウトマウス(CHOPΔIEC)を作成した。本マウスの作成は過去に報告がなかったため初の報告となる。通常遺伝学的にCHOPΔIECとCHOPfloxマウスの交配ではΔIECとfloxの仔マウスの割合は1:1で産まれてくることが期待されるが、実際はΔIECの出生が極端に少なく発生発育の段階で腸管上皮細胞におけるCHOPが重要な役割を果たしていることが示唆された。出生したマウスにおいては12週齢程度までの観察ではCHOPΔIECに明らかな発育の変化は認められていない。 我々は腸管上皮細胞におけるCHOPの腸管ホメオスタシスや腸炎における役割を検討するために、通常飼育状態およびDSS誘導性腸炎モデルでのマウスの糞便、腸管および腸管上皮細胞、腸間膜リンパ節、脾臓、肝臓などを採取した。コントロールマウスおよびCHOPΔIECマウスそれぞれ4匹ずつのプレリミナリーなデータではあるが、DSSにて腸炎を誘導するとCHOPΔIECの死亡が確認された。DSS誘導性腸炎においてHE染色で腸管組織を観察すると、現在のところ炎症細胞浸潤、びらん潰瘍など炎症に関わる組織変化は見いだせていないもののCHOPΔIECにおいて特にcrypt部での核腫大、核濃染、細胞密度上昇などが認められ、細胞増殖の亢進が示唆された。 遅れにより研究計画実施は完遂されていないため、今後CHOPΔIECのフェノタイプ、腸管上皮におけるオートファージ、アポトーシス、細胞増殖、癌化などを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国からコロナウイルスや天候等の影響により遺伝子改変マウスおよび凍結胚の納入がやや遅れた。また、研究対象となる仔マウスが想定より出生しないため、研究開始に時間がかかった。現在は数は少ないものの安定してマウスが産出できる状態となり研究を行っているが当初の予定より実験は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、定常状態と腸炎誘導時のマウスのフェノタイプの解析は継続する。現在のペースで研究が行われれば1年程度で研究計画の実施が可能であると考えられる。CHOPの腸管上皮細胞における機能、特にオートファジーや腸炎を検討するが、今回見出された細胞増殖および癌化の観点からも研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウス、凍結胚の輸入に時間がかかったことおよび想定されていたほど目的の遺伝子改変マウスが産まれてこないことにより研究計画が遅れたため。
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