2020 Fiscal Year Research-status Report
SIRT7の腸管組織における機能解析および炎症性腸疾患との関連の探索
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20K16961
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
古田 陽輝 熊本大学, 病院, 医員 (00869513)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Sirt7 / 腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では老化に関与する分子であるSIRT7が、腸管においてどのような機能を有しているかを解析している。これまでの予備実験ではデキストラン硫酸(DSS)誘導性腸炎においてSirt7KOマウスはWTと比較し、惹起される腸炎の程度が異なることが見出された。そこで、腸炎におけるSIRT7の機能をより明瞭にするため、様々な条件下におけるで腸炎を誘導し、炎症の時期や条件における炎症程度について解析を行なった。さらに炎症のみならず、腫瘍との関連を検討するためアゾメタン(AOM)-DSSを用いた炎症性発癌モデルにてWTとSirt7KOマウスにおける腫瘍形成について比較した。結果WTとSirt7KOマウスでは腫瘍の発育が異なる傾向を見出した。 SIRT7はユビキタスに発現している。そこで腸管上皮細胞における機能について詳細に検討することとした。腸管上皮細胞におけるSIRT7の標的蛋白質を同定するため、WTとSirt7KOマウスから腸管上皮を分離し、RNAを抽出、次世代シークエンサーを用いたRNA-seqを行なった。解析結果ではWTとSirt7KOから抽出された上皮における遺伝子発現パターンが異なる傾向があることがわかった。さらに両群において有意に発現が変化している遺伝子を同定し、現在それら遺伝子が関与するpathway解析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では実験計画にて予定していたマウスの腸炎について表現型の確立、そして上皮機能解析のためのRNA-seqを行った。解析により上皮におけるSIRT7が関与する候補遺伝子が多数あげられたが、現時点で直接関与する遺伝子の絞り込みが行えていない。今後、文献的な検索を含め絞り込んでいくことで、候補遺伝子を特定していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seqにおいて挙げられた、候補遺伝子に関して過去の文献等を検索し腸炎との関連のあるものを絞り込んでいく。特にSIRT7が脱アセチル化酵素であることから、候補遺伝子の発現を負に制御していることが予測され、SIRT7KOマウスでは増加しているものが直接的な候補遺伝子となりうる。そのためWTと比較し、KOで有意に増加している遺伝子を中心に検討していく予定である。 さらに候補に挙げられた遺伝子については腸管上皮細胞株を用いてSirt7をノックダウンすることで発現が変化するか確認し、さらにそのことが与える上皮機能の解析を行い、腸炎への関与に関して詳細に解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
SIRT7の分子生物学的特徴の解析は、同分子がユビキタスに発現する一方で、細胞により機能が異なることがある。腸管において、炎症には上皮機能や免疫細胞の機能など多岐にわたるため単年度で研究を終了することは困難であるが、上皮における分子学的解析を中心に現在進行中であり、今後そのほかの細胞における機能解析も必要であり次年度使用額が生じた。
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