2021 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎におけるVEGFR1-TKシグナルの潰瘍修復メカニズムの解析
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20K16968
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
別當 朋広 北里大学, 医学部, 助教 (40623202)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / VEGFR1 / 血管新生 / 制御性T細胞 / Treg |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度では野生型マウス(WT)及びVEGFR1TK欠損マウス(TKKO)を用いてDextran SodiumSulfate (DSS)による潰瘍性大腸炎モデルマウスの作成し、炎症に伴う、体重減少や大腸長(終末回腸から肛門管までの長さ)短縮を比較評価した。TKKO群では有意な大腸短縮やまた病理学組織学的に潰瘍の残存、新生血管の減少をみとめ、大腸粘膜修復の遅延が示唆された。 令和3年度では炎症の遷延の有無を評価するため、まず炎症大腸粘膜における炎症抑制サイトカインではTGF-βとIL-10 のRNA発現量をWTとTKKOで比較したところ、TKKOにおいてこれら炎症抑制サイトサインの発現低下を認めた。特にTGF-βについては大腸炎発症早期から7日目まで経過全体を通じてTKKOで抑制されており、主な産生細胞である制御性T細胞(Treg)の転写因子であるForkhead boxprotein p3(Foxp3)の炎症大腸粘膜での発現量を比較したところ、TKKOで有意な発現現象を認めた。また、Foxp3抗体を用いて炎症粘膜を免疫染色し細胞個数を比較すると、TKKOで有意なFoxp3陽性細胞の低下を認めた。さらにVEGFR1抗体を用いてFoxp3抗体と2重染色を行い、同時発現する細胞個数を比較したところ、TKKOで有意な低下をみとめ、以上からFoxp3陽性細胞(Treg)はVEGFR1のシグナルにより炎症局所へ動員される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験において、マウス個体差や、薬剤の製品ロットにより、大腸炎マウスの炎症度が変わってしまい、各実験毎に最適なC(DSS)濃度を調整する必要があるため、当初の計画以上に予備実験が多く必要となってしまった。特に炎症大腸粘膜のRNA発現の定量は工程が多くとくに腸管のホモジナイズするため想定以上の時間を必要とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度ではTregの炎症粘膜における炎症抑制効果を実証するため、WTでDSS大腸炎を作成後、中和抗体(CD25抗体、FR4抗体)の経腹腔的に投与し、体重変化、大腸長の比較、マウス生存率を評価し、また炎症サイトカインや炎症抑制サイトカイン、Foxp3の発現を比較する。またVEGFR1シグナルによるFoxp3陽性細胞の動員の機序について、走化性因子の発現を比較し明らかにする。
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Causes of Carryover |
前年度の未使用分があったことと、旅費などの経費が使用なかったため。
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