2021 Fiscal Year Research-status Report
膵臓がんにおける腫瘍抗原発現制御機序に関するPD-L1の関与
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20K16973
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
カン シン 東京慈恵会医科大学, 医学部, 研究補助員 (90706186)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PD-L1 / 腫瘍抗原 / 免疫逃避機構 / 膵臓がん |
Outline of Annual Research Achievements |
Programmed cell death Ligand 1 (PD-L1)を発現するがん細胞はProgrammed cell death 1 (PD-1)を介し細胞傷害性T細胞(CTL)の抗腫瘍応答を抑制することが知られている。しかしながら、これらの分子を標的とした免疫チェックポイント阻害薬の効果は、難治性がんの代表である膵臓がんに対しては、無効であるため、新規治療戦略が求められている。 我々は、多くのヒト膵臓がん細胞株とヒト膵臓がん腹水由来のがん細胞株に、PD-L1の発現と腫瘍抗原Xの発現に逆相関がみられることを見いだした。そこで、我々はPD-L1発現膵臓がん細胞がPD-L1の下流で腫瘍抗原Xの発現を抑制し、最終的に腫瘍抗原X特異的CTLから逃避する新しいメカニズムを着想した。本研究では、PD-L1の下流で腫瘍抗原の発現を制御するメカニズムの解明を目的としている。この結果、PD-L1を発現する膵臓がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の治療抵抗性に対するメカニズムも解明できる可能性がある。 2021年度は2020年度に引き続き、CRISPR/Cas9によるPD-L1欠損膵臓がん細胞株(PD-L1欠損株)の作成を行った。その結果、1クローンにおいて(i) immunoblot法によりPD-L1タンパク質の発現が消失したこと、(ii) サンガーシーケンス法によりターゲット領域で1塩基が欠失した変異を確認し、PD-L1欠損株を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の目標は PD-L1欠損株の作成であった。PD-L1欠損株だけでなくPD-L1過剰発現膵臓がん細胞株(PD-L1過剰発現株)も作成する事ができた。しかし、PD-L1の下流で腫瘍抗原の発現を制御する機序の解析に今から着手するため研究がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
PD-L1欠損株は腫瘍抗原Xの発現が誘導されると考えられるため、腫瘍抗原Xの発現量を定量的PCRやimmunoblotで評価する。
腫瘍抗原の発現誘導に関与する因子を明らかにすることで、PD-L1が下流でこれを抑制した結果、腫瘍抗原の発現が低下したと考えた。PD-L1欠損株とPD-L1野生型株、PD-L1欠損株とPD-L1過剰発現株について、RNA-seqによる網羅的な遺伝子発現比較解析を行い、PD-L1欠損株で発現変動が認められる遺伝子を得る。得られた遺伝子に関与する経路や転写因子をパスウェイ解析やデータベースなどで解析する。
同定した経路を活性化または転写因子を過剰発現させたPD-L1野生型株の腫瘍抗原の発現量を評価し、これらが腫瘍抗原の発現誘導に関与するか検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により納入ができなかった試薬や消耗品があったため、最終年度に抗体や消耗品、RNA-seqの解析費用に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)