2022 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌・膵癌・胆道癌における腫瘍局所の免疫プロファイルの意義の解明
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20K16984
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
寺島 健志 金沢大学, 先進予防医学研究センター, 特任准教授 (90775305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 瘍微小環境 / 膵癌 / 肝細胞癌 / 胆道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の最終目標は、これまでにない免疫学的観点アプローチにより、難治性である肝細胞癌・膵癌・胆道癌患者の治療法選択、治療効果及び予後の予測に有用な宿主側因子を同定し、その免疫プロファイルに応じた個々の患者に最適な医療を提供することで、難治癌の治療成績向上に寄与することである。 令和4年度までに、これまで対象としていた肝細胞癌に加えて胆道癌、膵癌を対象とし、以下の研究を実施した。 ①:切除が行われ、病理診断後に保存された病理検体を用いて、癌局所に浸潤した免疫細胞に発現する表面抗原(CD8、CD4、CD25、FOXP3、CCR4、S100A9、CD68、CD163、CD204、HLA-DR、CD11c、CD14、CD15、CD279、CD56、CD34、PD-L1、CD3、MHC classⅠ、CD20)について網羅的な免疫染色を実施した。②:切除検体を用いて、PD-L1、MHC classⅠ、HLA-DR等、腫瘍局所の抗腫瘍免疫への関与が示唆される腫瘍側の因子に加えて、腫瘍細胞を特徴づける分子、とくに、EpCAM、CD90、CHD4等、肝癌幹細胞マーカーの免疫染色を行った、③:研究対象となる肝細胞癌,胆道癌及び膵癌患者の臨床病理学的因子、治療効果及び患者予後に関する情報を収集した。 以上のように、腫瘍に浸潤した免疫細胞の数、特性、局在を評価することで、肝細胞癌局所に浸潤した免疫細胞に発現する表面抗原の網羅的なプロファイルが得られた。 以上の結果、発現が認められる表面抗原別に免疫担当細胞の腫瘍内部への浸潤が切除後の治療成績及び患者予後と関連しているとの知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行により、施設規定により実験の停止等の対応が必要となったこと、切除例が想定より少なかったことから、令和4年度に実施を予定していた研究の一部が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は別途策定した研究計画に沿って、当初令和4年度に実施予定としていた下記の研究を引き続き実施する予定である。 1.皮下移植モデルを用いて腫瘍局所の免疫プロファイルと薬剤感受性との関連を解明する 切除された肝細胞癌組織をSCIDマウスの皮下に移植し、分子標的薬、免疫治療薬等の抗悪性腫瘍薬を投与後、腫瘍径の推移、マウスの生存等を観察する。観察によって得られた薬剤感受性と腫瘍局所に浸潤した免疫細胞の表面抗原の発現を解析した結果に基づく免疫プロファイリングとの関連について解析する。 2.腫瘍局所の免疫プロファイルを規定する腫瘍・腫瘍間質因子を探索する Laser Capture Micro dissectionにより腫瘍組織及び腫瘍間質のRNAを別々に抽出し、RNA-seq解析により網羅的な遺伝子発現解析を行う。以上の検討により評価した腫瘍・腫瘍間質因子と腫瘍局所に浸潤した免疫細胞の表面抗原の発現を解析した結果に基づく免疫プロファイリングとの関連について解析し、腫瘍局所の免疫プロファイルを規定する腫瘍側因子の探索を行う。
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況に記載した如く、COVID-19の流行に伴う実験停止のため、計画していた実験の一部が実施できなかったため、物品費が予定額を下回った。 また、同じ理由により出席を予定していた学会がバーチャルミーティングとなったため、旅費として計上していた予算額を支出しなかった。次年度、以上の計画を併せて実施予定のため、次年度使用額として計上する。
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Research Products
(8 results)