2020 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪性肝疾患を背景とする肝発癌におけるB細胞活性化因子の役割
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20K16991
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中村 由子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (40867256)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / B細胞活性化因子 / 高脂肪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脂肪性肝疾患の治療戦略となる病態の中で肝発癌に焦点を当て解析することを目的としている。申請者はB細胞活性化因子(BAFF)がインスリン抵抗性を誘導するアディポカインであることを見出し、肥満に起因する内臓脂肪機能不全を惹起し、脂肪性肝疾患の肝脂肪化に関与することを明らかにしてきた。今回の研究では、BAFFが肥満・糖尿病と免疫異常・発癌を繋ぐ因子の一つではないかと考え、BAFFの脂肪性肝疾患の肝発癌への役割について、ノックアウトマウスを用いた動物モデルや細胞を用いて明らかにすることとしている。 C57BL/6マウスとBAFF欠損マウス、BAFF-R欠損マウスそれぞれに発癌物質ジエチルニトロサミン(DEN)もしくはPBSを単回腹腔内投与し、その後通常食もしくは高脂肪食で飼育しマウスモデルを作成している。当該年度では6ヶ月、9ヶ月後に肝臓を採取し、組織像・肝癌合併率を検討した。DEN投与高脂肪食飼育6ヶ月齢マウスでは発育した肝癌自体は2-3mm大と比較的小さいサイズのものが多く、3群共に肝癌合併率は50%前後であった。顕微鏡的腫瘍の合併率はBAFF欠損マウスで高かった。DEN 投与高脂肪食飼育9ヶ月齢マウスではいずれの群でも肝癌合併率は100%で、3群に明らかな差は認めなかった。一方、DEN投与通常食飼育6ヶ月齢マウスでの肝癌合併率はC57BL/JマウスとBAFF-R欠損マウスでは10%程度で低い。BAFF欠損マウスは40%と高くなったがモデル数が確保できれおらず今後モデル数を増やして検討する必要がある。DEN投与通常食飼育9ヶ月齢マウスではC57BL/Jマウスで肝癌合併率は30%で、BAFF欠損マウスとBAFF-R欠損マウスではほぼ全例で肝癌を伴っていた。飼育期間を短くしたモデルの作成と、機序に関してPCRとフローサイトメトリーで評価している途中にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
6ヶ月齢、9ヶ月齢のマウスモデル作成済みであるが、DEN投与高脂肪食飼育長期モデルマウスで3群間で明らかな差を見出しにくく、月齢を変更し5ヶ月齢程度のモデルで再検討を予定している。また申請者が2020年11月から産休と引き続く育休を現在取得中のため、モデル作成やそれに引き続く回析に遅れが出ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年8月より研究再開可能な見込みであるため、研究を推進していく。DEN投与高脂肪食飼育9ヶ月齢マウスでは3群間に有意差を認めなかったため、5ヶ月齢マウスで肝癌合併率を再検討する必要があると考えている。研究再開までには5ヶ月齢マウスモデルを作成する予定である。 また長期飼育DEN投与通常食飼育BAFF-R欠損マウスモデルとBAFF欠損マウスでC57BL/Jマウスに比較して発癌率が高い傾向にある。その傾向を月齢を変えたマウスでも評価し、そのメカニズムを肝臓PCR、フローサイトメトリーなどを用いて行う予定である。 肝臓PCRやフローサイトメトリーは、以前の高脂肪食飼育マウスでのデータもあり、それらとDEN投与発癌モデルと対比し検討予定である。 また人サンプルでも発がんとBAFFの関係を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年11月から現在も産休・育休にて、研究を一旦中断しており、当初予定額より次年度使用額が生じた。 2021年8月より本研究再開見込みである。産休・育休に要した期間を延長する予定で、研究継続し次年度使用額を用いる方針である。
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Research Products
(1 results)