2020 Fiscal Year Research-status Report
クローン病患者おける抗IL-12/23p40抗体の治療効果予測因子の同定
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20K16992
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤岡 審 九州大学, 大学病院, 助教 (90814400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クローン病 / 抗IL-12/23p40抗体 / Th分化 / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はクローン病の新規治療薬である抗IL-12/23p40抗体導入患者の治療前後の腸管粘膜や血液サンプルにおける遺伝子プロファイルおよび免疫関連因子の解析を通じて、同薬への治療効果予測因子および治療不応例に対する新たな治療戦略を明らかにすることを目的として立案された。 抗IL-12/23p40抗体を新規導入した活動期クローン病患者17名から書面による同意を得て、投薬前後の臨床像および内視鏡像を集積するとともに、末梢血と腸管粘膜生検組織を採取した。末梢血からは磁気ビーズ法にてCD4陽性細胞を分取し、フローサイトメトリーにより治療前後でのTh分化の変化を検討した。治療奏功例(n=12)では治療反応不良例(n=5)と比較してTh17への分化の有意な減少が見られた(P=0.01)。また、治療反応不良例では治療後にTh2への分化の割合が増加する傾向が見られた(p=0.082)。続いて、デジタルカウント遺伝子発現解析にて腸管粘膜組織中の遺伝子(mRNA)発現の変化も比較した。治療後に19種の遺伝子の発現が抑制されており、これらはTh17経路への有意な関連が見られた。活動期クローン病患者においてはTh1細胞ではなくTh17細胞への分化の抑制が抗IL-12/23p40抗体療法の主要なメカニズムであることが示唆された。 以上の結果は、第17回日本消化管学会総会学術集会で報告した。現在、抗TNFα抗体製剤での治療症例との比較を含めて追加検討を行っており、その検討結果については論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗IL-12/23抗体p40抗体投与症例の臨床像の集積と、末梢血を用いた治療前後でのTh分化の変化、腸管からの生検検体を用いた遺伝子発現の変動に関する解析が終了した。一方で、これらの変化が同薬投与に特有の現象であるか、それとも炎症沈静化による副次的な影響であるかについてさらなる検証が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
抗IL12/23p40抗体と同じくクローン病の治療薬である抗TNFα抗体製剤での治療症例も対象として同様の検討を行い、治療薬別のTh分化や遺伝子発現の比較を行っている。解析が終了した時点で論文としてまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)