2020 Fiscal Year Research-status Report
ペア型免疫受容体による肝臓虚血再灌流障害の制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K17000
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
殷 恩智 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (70844786)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 肝臓虚血再灌流障害 / ペア型免疫受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
常在性クッパー細胞と局所に動員される単球/マクロファージや好中球が肝臓虚血再灌流障害の制御に重要な役割を担う。活性化型LMIR4と抑制型LMIR3は好中球や単球/マクロファージに発現するペア型免疫受容体である。LMIR3のリガンドは脂質セラミドであるが、LMIR3と相同性の高い細胞外領域を有するLMIR4のリガンドは不明である。本研究の目的は、LMIR3とLMIR4に着目して肝臓虚血再還流障害の分子機序を解明することである。野生型及びLMIR4欠損マウスに対して肝臓虚血再灌流障害モデルを施行したところ、野生型マウスと比較してLMIR4欠損マウスでは再灌流後の血清GPT・GOTなどの上昇や肝臓に集積する好中球数の増加が軽度であることが判明した。また、再灌流後の野生型マウスの肝臓組織から白血球を分離して、LMIR4の発現をreal-time PCRで解析したところ、LMIR4の発現は集積する好中球で高く、単球/マクロファージ系細胞では低いことが確認された。また、肝臓組織の各種染色を行った結果、LMIR4欠損マウスの肝臓組織ではアポトーシス/ネクローシスを起こした肝細胞の割合が顕著に少ないことが明らかになった。これらの結果は、好中球のLMIR4が欠損すると、虚血再灌流障害による肝臓への好中球集積が減弱して、肝細胞の障害が軽減することを示唆した。現在、LMIR4が肝臓組織内で認識するリガンドの同定を試みるとともに、好中球のLMIR4が虚血再灌流障害による肝臓のダメージを軽減させるメカニズムの解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、ペア型免疫受容体の活性化受容体LMIR4が肝臓の虚血再灌流障害を増悪させることが明らかになった。LMIR4の生理的リガンドは不明であり、LMIR4の生体内機能も不明であったが、本研究成果は今後の研究の重要な手がかりとなると考えられた。従って、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
定常状態の肝臓及び虚血再灌流障害を受けた肝臓から脂質を分離して、質的・量的変化を解析しながら、LMIR4の細胞外領域を利用する結合・レポーターアッセイを駆使してLMIR4のリガンド同定を試みる。また、アポトーシス/ネクローシスを受ける肝細胞に着目して、LMIR4が肝臓の虚血再灌流障害を増悪させるメカニズムを解明する予定である。
|
Causes of Carryover |
緊急事態宣言により、マウスを使用する実験が制約された時期があり、in vivo実験の一部が次年度に遂行される。マウスの肝臓虚血再灌流障害モデルを解析して、研究目的を達成する。その実験に必要なマウス代や飼育費、消耗品の費用を計上する。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] Anti-CD321 antibody immunotherapy protects liver against ischemia and reperfusion-induced injury.2021
Author(s)
Yin E, Fukuhara T, Takeda K, Kojima Y, Fukuhara K, Ikejima K, Bashuda H, Kitaura J, Yagita H, Okumura K, Uchida K
-
Journal Title
Sci Rep.
Volume: 11
Pages: 6312
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-