2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K17005
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
井上 匡央 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (40620026)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胆管癌 / 局所治療 / ラジオ波焼灼療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆管癌の根治的治療法は外科的切除術であるが、腫瘍の進展や遠隔転移などによって切除不能の状態で診断されることも少なくない。切除不能例に対しては化学療法が第一選択となるが、十分な成績とは言い難く、さらなる治療成績の向上が求められている。我々は、胆管癌の生命予後延長を目指した新たな低侵襲胆管内局所治療法として、内視鏡下ラジオ波焼灼療法(RFA)システムを考案し、臨床応用に向けた開発研究を行っている。前年度に引き続き切除ブタ肝臓検体を用いた評価実験を継続し、様々な条件設定下での焼灼データを蓄積すると共に、再現性と安定性の評価も行った。また本年度はより実臨床を念頭におき、3頭の生体ブタを用いて中長期経過の評価を行った。通常の内視鏡的逆行性胆管造影手技に準じて胆管にカニュレーションを行い、遠位胆管に対して新規RFAシステムを用いて焼灼を行った。焼灼後35日間飼育した後に剖検を行い、焼灼により凝固壊死が得られた範囲は肉芽組織に置換されていることを確認した。また肉芽組織による変化範囲は、平均長20.03mm、平均深度2.92mmであった。胆管穿孔や出血、膿瘍など、明らかな偶発症は認めず、中長期的にも安全かつ有望な結果が示唆された。一方で実験を重ねることで、状況によっては電極接触部分が相対的に強く焼灼され、焼灼範囲にムラが起こり得ることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
切除ブタ肝臓に対する実験による焼灼の再現性と安定性の評価、ならびに生体ブタに対する実験による中長期的な影響のデータを蓄積することができた。一方で対策が必要な課題が認識された。
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Strategy for Future Research Activity |
本治療法においては、効果の面からも安全性の面からも適切に焼灼範囲をコントロールすることが重要であり、そのためには焼灼ムラを可能な限り軽減することが必要となる。今後はさらに切除ブタ肝臓と生体ブタへの実験を進めることで、ムラのできる原因を明確化しその対策と改良を行っていく。すでに焼灼ムラに対するいくつかの対策案は具体化させており、それらを踏まえて実験を繰り返し行い、臨床応用に向けた設計・焼灼条件・出力設定を確立していく。
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Causes of Carryover |
実験の進捗は概ね順調であったが、海外学会等での現地発表を行わなかったことや、得られた課題に対する対策に時間を要し実験数が予定より減少したこと等により、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(12 results)