2020 Fiscal Year Research-status Report
CD4陽性キラーT細胞の走化性を誘導する新規肝がん治療法の開発
Project/Area Number |
20K17018
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
内藤 達志 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (60529329)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CD4陽性キラーT細胞 / 肝がん / ケモカイン / 多重免疫染色 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細胞傷害活性を有するCD4陽性キラーT 細胞(CD4+CTL)の肝癌腫瘍組織内での動態を明らかにする。それによりCD4+CTLを誘導するケカイン制御による新規の抗癌治療法を確立することを目的としている。 本年度はマウス肝癌細胞株BNL 1ME A.7R.1 (BNL)をBALB/cマウスの門脈に開腹下に注射し、肝内に肝腫瘍を形成するマウスモデルを確立した。 独自に確立したこのマウス同所性肝癌モデルを用いて、経時的な腫瘍数の増加と腫瘍径の増大とを確認した。また、経時的に肝腫瘍と周囲肝組織を採取し、CD4+CTLおよびその他の免疫細胞の局在性と構成細胞の変化に関して、腫瘍進展の各経過において検討すができるようになった。 肝癌とその周囲組織の組織学的検討には、同時7色の多重染色を行えるTSA免疫組織化学染色を用いることで、CD4+CTL、CD8+CTL、ヘルパーT細胞、制御性T細胞(Treg)、マクロファージといった免疫細胞の腫瘍内局在とポピュレーションを、一枚の切片上で網羅的かつ定量的に解析することができる。 本年度は外科手術により摘出したヒト肝癌患者切除標本組織に関して、7色多重染色におけるCD4+CTLをはじめとした各種免疫細胞の表面マーカーに対する抗体濃度の決定と7種類の抗体の最適な染色順を検討し、確立した。現在、CD4+CTLと他のT細胞サブセットの構成比率、局在の変化、PD-1発現の多寡を検討中である。前述のマウス腫瘍組織に関しても同じく検討を行っている。 また、本年度はヒト切除肝組織ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片よりメッセンジャーRNAの抽出を行った。切片のうち肝癌部分と周囲肝組織のそれぞれに分けてメッセンジャーRNAを抽出しえた。次年度以降、次世代シーケンサーによるRNA発現解析予定であるが、次世代シーケンサーでの解析に足る質と量のRNAが抽出できたことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究予定通りに進んでいる。一部解析が未完了のマウス肝癌組織の免疫化学染色に関しては現在解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き肝腫瘍における免疫細胞の変化を、TSA免疫組織化学染色による7色多重染色により検討する。 前述のマウスおよびヒト肝、腫瘍組織より抽出しておいたRNAに対して次世代シーケンサー(Miseq;Illumina社)を用いてRNAseqによるケモカインおよび免疫関連遺伝子の網羅的な発現解析を行う。 マウスにCTX、白金製剤、5-FUによる抗癌化学療法を行い、腫瘍内の免疫細胞の割合の変化を観察する。 また、申請者がこれまでに同定したCCL3等のケモカインを経門脈的、経尾静脈的、経肝的に投与し、CD4+CTLとその他の免疫細胞に関して免疫染色で解析し、腫瘍数、腫瘍容量を測定し、免疫細胞の遊走因子としてのケモカインによる抗腫瘍活性の増強効果を検討する。これによりケモカイン制御による新規の抗癌治療法を確立する。
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