2020 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR/Cas9治療によるB型肝炎ウイルスcccDNA切断後の病態解明
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20K17020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 一裕 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50867314)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HBV / CRISPR/Cas9 / cccDNA / PARP / オラパリブ |
Outline of Annual Research Achievements |
HBV感受性細胞株であるHepG2-hNTCP-C4に、ドキシサイクリン誘導型Cas9を遺伝子導入した細胞株であるHepG2-hNTCP-iCas9を樹立した。HBVゲノムのopen reading frame内にあるX領域、P領域、C領域を標的としたgRNA(HBV-gRNA)並びにHBVやヒトゲノムを標的としないコントロールgRNA(Cont-gRNA)を複数設計し、レンチウイルス型の発現ベクターにクローニングを行い、HepG2-hNTCP-iCas9に遺伝子導入を行った。HBV感染4日後にドキシサイクリンを投与し、Cas9をHBV感染後に発現させると、培養上清中のHBV DNA,HBs 抗原,HBe 抗原, 細胞内プレゲノムRNA(pgRNA),cccDNAはHBV-gRNA導入群でCont-gRNA導入群と比し培養上清中HBV DNA量、HBs抗原量、HBe抗原量、細胞内pgRNA量、cccDNA量が有意に減少した。また初代培養ヒト肝細胞に対してもHBV感染後にレンチウイルスによるCRISPRの導入を行うと、HBV-gRNA導入群でCont-gRNA導入群と比し培養上清中HBV DNA量、HBs抗原量、HBe抗原量、細胞内pgRNA量、cccDNA量が有意に減少した。また、HepG2-hNTCP-iCas9の検討で同定したcccDNA修復に関与する分子候補について、DNA修復関連タンパクの1つであるPARPに着目して検討した。HepG2-hNTCP-iCas9において、PARP1 siRNA、 PARP2 siRNAやPAPR阻害薬であるオラパリブ単独投与では抗ウイルス効果は認められなかったが、いずれにおいてもCRISPR/Cas9との併用治療を行うとCRISPR/Cas9単独治療による細胞内pgRNA量の低下を有意に増強した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HBV感受性細胞株であるHepG2-hNTCP-C4に、DOX誘導型Cas9を遺伝子導入した細胞株であるHepG2-hNTCP-iCas9の樹立に成功した。樹立したHepG2-hNTCP-iCas9はDOX非投与下でCas9の漏出はなく、DOX量依存性にCas9発現が増大する。またHBVへの感染性についてもHepG2-hNTCP-C4と変化はない。HepG2-hNTCP-iCas9や初代培養ヒト肝細胞を用いてCRISPR/Cas9の抗HBV効果を示すことができた。またcccDNA修復に関与する分子候補としてPARPに着目した。PARP1 siRNA、 PARP2 siRNAやPAPR阻害薬であるオラパリブ単独投与では抗ウイルス効果は認められなかったが、いずれにおいてもCRISPR/Cas9との併用治療を行うとCRISPR/Cas9単独治療による細胞内pgRNA量の低下を有意に増強したことから、CRISPR/Cas9治療後のcccDNA修復に PARP1、PARP2の関与が示唆されるという実験結果を得られたから。
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Strategy for Future Research Activity |
HBV感染後CRISPR導入前後の細胞を採取し、ホルムアルデヒドによる架橋化を行った後に、BRCA1、BRCA2、RAD50、RAD51等のDNA修復分子並びにTDP2、POLKなどのcccDNA形成に関わる分子、また今回の検討でcccDNAの修復に関連することが示唆されたPARP1、PARP2の抗体を用いてChIPアッセイによりcccDNAとの結合性に関して検討する。結合が確認された分子は、siRNAや阻害薬を用いて抑制を行い、CRISPRによるcccDNA減少効果に与える影響を検討する。 in vivoでも検討を行うためヒト肝細胞キメラマウスにHBVを感染後、AAV-GT5を用いてHBVに対するCRISPRを導入する。その際にinvivofectamineを用いて、候補遺伝子のsiRNAを導入する。経時的に血清を採取し、血清中HBV DNA、HBs 抗原を評価する。また肝組織から細胞内pgRNA、cccDNAを評価する。また肝組織中のHBs 抗原陽性細胞の免疫染色を行う。以上の結果を総合して、CRISPR/Cas9によるcccDNA切断後の病態評価とsiRNAによるcccDNA修復阻害による治療効果改善の有無を検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Novel anti-HBV therapies using CRISPR/Cas9 targeting HBV genome strongly suppress HBV2020
Author(s)
Kazuhiro Murai, Takahiro Kodama, Hayato Hikita, Akiyoshi Shimoda, Makoto Fukuoka, Keisuke Fukutomi, Yuki Tahata, Yuki Makino, Ryoko Yamada, Ryotaro Sakamori, Tomohide Tatsumi, Tetsuo Takehara
Organizer
AASLD The Liver Meeting Digital Experience (TLMdX)
Int'l Joint Research