2022 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮細胞シート移植による食道再生医療後の長期安全性評価基盤の構築
Project/Area Number |
20K17024
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
丸屋 安広 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (20817085)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 食道癌 / 内視鏡下粘膜下層剥離術(ESD) / 口腔粘膜上皮細胞シート / 53BP1 / genomic instability / 再生医療等製品 / 移植後長期予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景/目的】我々は2013年7月より東京女子医科大学と共同で長崎-東京間の移送を伴った「早期食道癌に対するESD後食道潰瘍への自家口腔粘膜上皮細胞シート(Autologous oral mucosal epithelial cell sheet ;以下AOMECS)移植の臨床研究」を10例に実施し、良好な治療成績が得られ、短期的に深刻な有害事象は見られなかった。しかしAOMECS移植後組織の長期安全性に関しては適切な評価法は確立されていないのが現状である。本研究ではAOMECS移植後の長期予後とフォローアップ期間中に施行された生検組織のサンプルを用いて、移植長期経過後の発癌リスクを解析することを目的とする。 【方法】食道ESD後にAOMECS移植の臨床試験を受けた患者10名の長期予後を検討。また、経過観察中に内視鏡的に癌病変が疑われた患者のESD瘢痕組織の組織学的評価も行った。さらに、AOMECS移植後の局所DNA損傷反応の状態を、生検標本のp53結合蛋白1(53BP1)免疫蛍光を用いて、細胞シート移植を受けなかった患者のESD後の生検標本5例と比較検討した。 【結果】AOMECS移植後の長期経過としては局所再発2例、異時性の原発食道癌1例、リンパ節転移1例であった。局所再発と転移性食道癌の患者にはESDを行い、リンパ節転移の患者には化学療法を実施した。AOMECS移植患者のうち1名は他疾患で死亡したが、原疾患での死亡はなかった。蛍光免疫組織化学では、食道上皮において、AOMECS移植後とコントロール群との間でDNA損傷反応に統計的な差はなかった。 【結語】AOMECS移植を受けた食道癌患者の長期予後は比較的良好で、いずれも食道はコントロール可能な状態を維持していた。AOMECS移植は、in situのDNA損傷反応を増加させることはなかった。
|