2020 Fiscal Year Research-status Report
Fontan関連肝疾患の線維化進展因子ならびに肝発癌因子の同定
Project/Area Number |
20K17035
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐川 孝臣 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80867929)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フォンタン関連肝疾患 / 肝腫瘍 / 肝線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fontan手術は先天性心疾患に対する心臓の修復手術で、様々な術式の改変ののち長期生存が得られるようになった。長期経過でFontan associated liver disease (FALD)として報告される肝障害の合併を認め、肝硬変へと進展する。しかし、抗凝固・血栓薬の内服や低心機能、合併する奇形などにより肝生検は困難であることも多く、線維化の程度の把握に難渋する。そのため、非侵襲的なマーカーの検討が急務である。今回我々は、Fontan術後患者を集積し、患者血清を遠心分離・抽出し、血清の肝線維化マーカーであるヒアルロン酸、IV型コラーゲン-7S、プロコラーゲンIIIペプチド (P-III-P)、M2BPGi (Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体)の測定を行っている。肝生検・手術組織での線維化の程度を比較検討することで、線維化進展例を拾い上げる線維化マーカーの探索を行う。線維化進展に関与するリスク因子の同定も行っている。また、FALDには様々な良性腫瘍を合併するが、そのうち肝細胞癌 (HCC)を含む肝腫瘍の合併も認められる。発生頻度は高くないが (2-3%/20年)、若年に発症することから大きな問題となっている。まず臨床像とそのリスク因子を明らかにするために、循環器小児科と併診し半年毎の血液検査と画像検査を行っている。HCC発症例に関して、血液検査値、心エコー検査、心臓カテーテル検査値を検討している。また、悪性を否定出来ない場合や増大傾向による出血のリスクが高い例においては、外科的切除も行い、癌部ならびに非癌部の組織学的な検討を加えている。最終的には発癌リスク因子を同定し、臨床に還元したいと考えて研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線維化マーカーの測定は順調に進んでいます。肝腫瘍性病変合併患者の組織学的な検討は大変難しいですが、今回新たに2症例で肝切除を行い、肝組織、肝腫瘍部の組織像を確認することができています。
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Strategy for Future Research Activity |
肝硬変例および肝癌合併例で血液検査値、心エコー検査、心臓カテーテル検査値を検討する予定です。また、肝線維化進行ならびに肝発癌リスク因子を同定することを目的として研究を行います。
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Causes of Carryover |
条件設定が間に合わず次年度に繰り越しとなりましたが、現在、随時検討を行っており研究に支障はありません。
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Research Products
(4 results)