2020 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞不均一性に着目した慢性肝疾患の病態進行と発がん機構の解明
Project/Area Number |
20K17038
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
山添 太士 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター, 肝疾患研究部 上級研究員 (20736219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞核画像解析 / シングルセル 調製法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肝細胞のヘテロ不均一性(heterogeneity)に着目した新規解析法を用いて、肝細胞癌患者の切除肝標本の非癌部ならびに癌部を解析し、染色体量(ploidy)の変化と慢性肝障害の進行や発癌との関連を解明することで、その病態進行の機序を明らかにすることを目的とする。加えて肝細胞癌を発症しうる慢性肝疾患としてB型・C型肝炎ウイルス、アルコール性、非アルコール性脂肪性肝疾患など慢性肝疾患横断的な検討を行うことで新たな知見を得ようとするものである。 ①肝細胞癌患者由来の肝癌切除標本の癌部/非癌部と転移性肝癌切除標本の非癌部の病理所見(壊死、免疫細胞浸潤など)におけるheterogeneityをzonationとploidyの両面で解析する。具体的には、転移性肝癌切除標本の非癌部を慢性肝障害のないコントロール群としてploidyとzonationの関連性について評価する。また、それぞれの肝硬変を含むB型慢性肝炎、C型慢性肝炎、アルコール性、非アルコール性脂肪性肝疾患の非癌部を慢性肝障害横断的に各3~5例程度、同様に解析する。現在、非アルコール性脂肪性肝疾患の非癌部を5例、直腸癌の転移性肝がんの非癌部を5例解析した。 ②転移性肝癌切除標本の非癌部を慢性肝障害のないコントロール群として3~5例程度、肝細胞のシングルセル解析を行い、ploidyの変化を生じる分子機構探索する。それぞれの染色体量を規定する因子群を探索する一方で、t-SNE (stochastic neighbor embedding)の比較においてzonationを確定させ、この染色体規定因子群とzonationとの関連を明らかにする。マウスの正常肝組織を用いたサンプル調製法をいくつか試行した。今後、慢性障害肝細胞およびヒト由来細胞で細胞調製法を確立し、シングルセル 解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①患者標本を使用した慢性肝疾患横断的なheterogeneityのランドスケープの作成に関して、解析法の最適化を行った。実際は、凍結標本の厚切り切片を作成し核染色(DAPI)、細胞膜染色(Phalloidin)、肝細胞マーカー(HNF4α)免疫染色を行い、組織透明化した後、共焦点顕微鏡にて3次元構築し、肝細胞の染色体量や解剖学的位置(門脈と 中心静脈との距離)を測定することを予定していたが、各疾患群を通して充分量の新鮮凍結標本を得ることが困難なためパラフィン標本を用いることにした。このため、使用抗体や高原賦活化の最適化が必要となったが、概ね解析法を確立し、転移性肝癌切除標本をコントロールとし、非アルコール性脂肪性肝疾患患者の非癌部をそれぞれ5例ずつ解析できた。解析方法が確立したため、今後B型及びC型慢性肝炎やアルコール性肝障害などの他の疾患群においても同様の評価方法を用いて解析を進めていく予定である。 ②シングルセル解析を用いた関連する分子機構の解明に関して、解析前の準備として細胞分取法の条件検討とシングルセル解析法のパイプラインに関して検討をおこなった。ヒトおよびマウス肝を用いたFACS sorting法を行い染色体量の変化を測定した。使用した染色はPropidium iodide (PI)、DAPI、Acridine orange (AO)、Hoechst 33258、Hoechst 33342をそれぞれ用いた。慢性肝障害における肝細胞は通常の肝細胞に比べ自家蛍光が高いため、これらの肝細胞でも同様に評価可能かを検討する。最終的には染色体量に応じた分取法を確立し、シングルセル解析を行う予定である。 以上より、想定していた方法では困難であったものは代替法により当初の目標と同等の進捗状況にあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
①患者標本を使用した慢性肝疾患横断的なheterogeneityのランドスケープの作成に関して、非アルコール性脂肪性肝疾患患者の非癌部をそれぞれ5例ずつ解析できた。解析方法が確立したため、今後B型及びC型慢性肝炎やアルコール性肝障害などの他の疾患群においても同様の評価方法を用いて解析を進めていく予定である。本年度に施行した非アルコール性脂肪性肝障害症例5例の検討から、解析項目の一部にはコントロールに比べて有意な変化があったものの、多くはその傾向をみとめるにとどまった。事後分析(post hoc)を行い適切なサンプルサイズを決定したのち、必要な解析数を蓄積していく予定である。また、マウスモデルにおける検討も同様に立ち上げる予定である。慢性肝障害マウスにおいても、臨床標本と同様の方法で検討し、動物種間の差および障害モデル間の差を明らかにする。 ②シングルセル解析を用いた関連する分子機構の解明に関して、細胞あたりの染色体量の測定法を確立した。今後は種々のモデルマウスでの測定に問題がないかを事前検討する。核数は現状測定できていないため、核数を測定する方法は引き続き検討課題である。シングルセル解析はマイクロ流体技術を応用した10x社の解析法とナノウェルを利用したiCell8 cxシステムを考慮中である。解析方法としてはRソフトによるSeuratパッケージを用いる予定であり、NCBIデータベースから肝細胞由来のデータのsraファイルを用いた解析パイプラインの予備検討も開始している。しかしながら、施設内のパーソナルコンピュータによる解析スピードはCPUおよび搭載メモリに依存しているため、共同研究者とのアドバイスを受けるなどして、解析面での協力を要請する可能性がある。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Mutant p53 regulates Survivin to foster lung metastasis2021
Author(s)
Tang Q.、Efe G.、Chiarella A.、Leung J.、Chen M.、Yamazoe T.、Su Z.、Pitarresi J.、Li J.、Islam M.、Karakasheva T.、Klein-Szanto A.、Pan S.、Hu J.、Natsugoe S.、Gu W.、Stanger B.、Wong K.、Diehl A.、Bass A.、Nakagawa H.、Murphy M.、Rustgi A.
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Journal Title
Genes & Development
Volume: 35
Pages: 528~541
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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