2020 Fiscal Year Research-status Report
FGF19・FGFR4シグナル阻害による肝癌分子標的薬の新規治療戦略
Project/Area Number |
20K17041
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
神崎 洋彰 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (10835086)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | FGF19 / FGFR4 / HCC / MKI |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の肝癌細胞株(Huh7及びJHH7)を用いて、マルチチロシンキナーゼ阻害薬(Sorafenib、Regorafenib、Lenvatinib)処理を行い、FGFR4/ERKシグナル阻害の影響をin vivo、in vitroにより分析した。92例の肝癌切除検体を用いてFGF19およびFGFR4の免疫組織染色を行い、臨床病理学的解析を行った。Sorafenibを投与された173例、Lenvatinibを投与された40例の患者血清を用い、血清FGF19濃度をELISA法により測定し、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を含めて、臨床学的背景因子との関係を分析した。Lenvatinibでは、SorafenibおよびRegorafenibと比較して、FGFR4/ERKシグナルが強く抑制された。FGFR4阻害剤とSorafenibまたはRegorafenibを併用すると、FGFR4/ERKシグナルが単剤に比較して、より抑制され、肝癌細胞増殖も相乗的に抑制された。切除検体を用いた検討では、FGF19およびFGFR4の発現がそれぞれ50例(54.3%)、36例(39.1%)で認められ、かつFGF19とFGFR4の発現は高い一致率を示した。Sorafenib投与患者における投与前血清FGF19濃度高値群は、低値群に比較して有意にPFS、OSが短かったが、Lenvatinib投与患者においては、同様の傾向は認められなかった。FGF19/FGFR4シグナルの強力な阻害は、マルチチロシンキナーゼ阻害薬による抗腫瘍効果に重要である。また血清FGF19濃度は、Sorafenib投与患者における治療効果予測、生存予測のマーカーとして機能する可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝癌細胞株を用いた検証、免疫不全マウスを用いた検証、肝癌切除検体を用いた免疫組織染色、ELISAによる分子標的薬投与患者の血清FGF19濃度測定が同時並行で概ね順調に進んだため。
|
Strategy for Future Research Activity |
肝癌細胞株を用いた検証、免疫不全マウスを用いた検証では、マルチチロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性化に関する検証を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度では肝癌細胞株及び免疫不全マウスを用いたマルチチロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性化に関する検証を行うことができなかったため次年度使用額が生じたと考える。次年度ではそれらの検証に使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)