2021 Fiscal Year Research-status Report
肝発癌におけるCCNDBP1とDNA損傷チェックポイント機構の関連性の解明
Project/Area Number |
20K17043
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
横尾 健 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (80750629)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ccndbp1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ccndbp1とATM-CHK2 pathwayの関連性と発癌への関与を解明することである。in vitroでAML12をベースにCRISPR/Cas9を用いてchk2欠損細胞を作成し、TK-NOGマウスに移植してrepopulationさせることで肝発癌を誘発し、経時的にccndbp1との関連性を解析することを計画した。類似のDNA損傷チェックポイント機構であるATR-CHK1 pathwayでも同様の解析を計画した。まず、AML12にRNPとdonor DNA(RFP, PuroR)をSCR7を添加した上でトランスフェクションした。RFP発現は確認できたが、ごく少数の細胞で観察されるのみであり、培養を続けてもコロニーを形成しなかった。また、selection前と後のプレートからDNAを抽出し、T7EIアッセイを行ったがミスマッチは検出されなかった。sgRNA設計やトランスフェクションの諸条件の再検討、エレクトロポレーションの利用でも同様の結果であり、RFPが確認されていることを考慮すると編集効率が低いことが理由として考えられた。遺伝子改変細胞の増殖能の低さから、マウスへの細胞移植は困難と考えられた。一方で、我々はccndbp1とATM-CHK2 pathwayの関係性に関して、ccndbp1 KO マウスを用いた解析を行ってきたが、マイクロアレイの結果から、ccndbp1がEZH2に抑制的に作用することが判明した。EZH2はATMを抑制することから、ccndbp1はATM-CHK2 pathwayを活性化させると考えられ、実際にATM-CHK2 pathwayのタンパク発現をWBで解析したところ、これを支持する結果が得られた。以上の結果を踏まえて、実験計画を修正することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
chk2ならびにchk1をターゲットとした遺伝子編集効率ならびに、その後の細胞増殖速度が低く、マウスへの細胞移植を断念した。そのため、当初の計画に修正を加えて、ccndbp1とATM-CHK2 pathwayの関係性を解明することとしており、現時点では、ccndbp1がATM-CHK2 pathwayを亢進させる作用があることが示されている。計画修正後の実施状況も考慮して、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、ccndbp1がEZH2に抑制的に作用しており、結果としてATM-CHK2 pathwayを活性化させることが示唆されている。今後はcccndbp1が直接的にEZH2を制御しているか否かを含めて、さらに詳細なオミクス解析を行うことを計画している。このオミクス解析の結果も考慮した上で、AML12のchk2, chk1のKO株の解析に関して、シングルセル解析などを利用して少数の細胞での変化を検出することを検討したい。
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Causes of Carryover |
2021年度はマイクロアレイなど、オミクス解析を中心とした支出計画を計上していたが、実験計画の遅れや修正などから、これらの解析が延期になった。また、コロナ禍のため学会費用が抑えられた。これらの理由により、支出の一部を2022年度に繰り越し、オミクス解析などを行う予定としている。
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