2023 Fiscal Year Annual Research Report
がん免疫療法研究に寄与する革新的な肝胆膵がん免疫系ヒト化マウスモデルの開発
Project/Area Number |
20K17044
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
丹尾 幸樹 金沢大学, 附属病院, 助教 (80807397)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝胆膵がん / がん免疫療法 / ヒト化マウス / PDXマウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
消化器がんの中で、特に予後不良ながん種である肝胆膵がんは、有効な治療法の開発が求められている。本研究では、肝胆膵がんに対するがん免疫療法の治療効果を正しく評価する事が可能な、同一患者から得られたがん細胞とiPS細胞由来免疫細胞を移植したヒトがん免疫マウスモデル開発を目的としてきた。これまでに、膵がんではEUS-FNA検体や腹水中の細胞を用いて3つの膵がんPDXモデルを樹立した。そのうち2つは膵がん細胞株化に成功し、これらはマウスへの皮下移植が可能であり、がん免疫マウスモデルに使用可能な細胞と考えられた。さらに、腹水細胞由来とする細胞株は皮下のみならず腹腔内にも生着可能で腹膜播種モデルとしても使用可能な細胞株であった。その一方で、がん細胞の移植プラットフォームとなる、がん患者のリンパ球iPS細胞から誘導した造血幹細胞移植によるヒト化マウス作成については様々な方法で試みたものの成功は得られなかった。 本年度は、膵がん患者リンパ球から樹立したiPS細胞を用い、ヒトiPS細胞の血液細胞への分化誘導の効率化を試みた。また、将来のがん免疫モデル作成に必要な肝胆膵がん組織からのPDXマウスの作成、細胞株樹立ならびに同一患者からのリンパ球回収・保存、iPS細胞作製を並行して行った。最終的に肝胆膵がん組織から計12例のPDXモデルの作成、内2例からはがん細胞株を、4例からはiPS細胞株を樹立した。 並行して肝胆膵がんに対するがん免疫療法の治療反応性を解析するマウスモデルとして、当科で樹立したマウス肝癌細胞を移植した複数の肝がんシンジェニックモデルを作成した。これらのマウスモデルは、肝細胞がんで臨床応用されている抗PD-L1抗体と抗VEGFA抗体の治療効果ならびに免疫応答の検証に有用であった。
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