2020 Fiscal Year Research-status Report
腸管分泌型IgA抗体に着目したirAE腸炎発症原因を探索する研究
Project/Area Number |
20K17046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
澤田 つな騎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10831315)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GI-irAE |
Outline of Annual Research Achievements |
GI-irAEのReal world dataを取得するために、当院における肺癌239例、悪性黒色腫149例について臨床像を検討した。Gi-irAEを発症後に、ICIをそのまま投与継続またはGi-irAE改善後にICI投与を再開した投与継続群とGi-irAE発症後に永続的にICIを中止した投与中止群に分類し予後の検討を行った。肺癌患者では、OSについて3群間での有意差は認めなかった。悪性黒色腫では、投与継続群とその他(投与中止群、非発症群)とで比較すると、投与継続群でOSの有意な延長を認めた。このことから、GI-irAEの発症と予後の相関が示唆され、GI-irAE発症の機序を探ることはICI治療の効果予測とも関連する重要な課題であることが確認された。 粘膜関連細菌叢の手技を確立するために、採取方法を検討した。GI-irAE症例の発症例が少なく、病態が類似しているとされる潰瘍性大腸炎症例において当院IRB承認のもと検体採取を行って検討した。胆管生検用ブラシ鉗子、ポリペクトミー用スネア鉗子、病変回収用ネット鉗子を用いて、大腸粘膜に付着した粘液を回収して解析した。DNA抽出はDNeasy PowerSoil Kit(Qiagen、Hilden、Germany)を使用してDNAを単離した。ブラシ鉗子で回収した検体から最も単離できるDNA量が豊富であることが判明した。DNAはユニバーサルプライマーを使用し細菌のV3-4領域をターゲットにして増幅し、AMPure XP磁気精製ビーズ(Beckman Coulter、Brea、CA、USA)を使用して精製した。2回目のPCRサイクルを通じてバーコードを付し、産物をプールしてシーケンスライブラリを構築し、Illumina MiSeqシーケンサーを使用してシーケンスした。これらの手技により大腸粘膜関連細菌叢の解析手技を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IgA-SeqのためIgAを経口ラベル抗体標識した糞便検体懸濁液のFACSを検討していたが、当組織の共有機器の感染制御が困難であり施行後に機器のクリーニングが必要であったが、その費用が賄えないことが判明した。また閉鎖路で施行できるフローサイトメーターも検討したが、こちらも予算の関係から断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
igA-Seqは、フローサイトメトリーによるIgAコーティング細菌の分離は断念し、磁気細胞分離法 (MACS)による分離が可能か検討中している。 GI-irAE症例の粘膜関連細菌叢を解析するために症例集積を行う。
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Causes of Carryover |
IgASeqの手技のためのフォローサイトメーターの使用のための資金であったが、前述の理由で施行できなかったため、現在は磁気細胞分離法 (MACS)による分離が可能か検討中であり、MACSを施行する資金として使用する。
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