2021 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学と逆行性トレーサーを用いた排便中枢の同定および役割の解明
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20K17054
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 義将 九州大学, 大学病院, 助教 (50869112)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 排便中枢 |
Outline of Annual Research Achievements |
排便は直腸平滑筋および肛門括約筋の協調運動により行われる。しかし、それらの障害により起こる便秘は、生活の質に影響を及ぼすとともに 近年、循環器疾患と脳血管疾患のリスク要因となり、生存率とも相関することが報告されている。 直腸平滑筋や肛門括約筋の収縮・弛緩には神経系の関与が報告されているが 排便中枢の局在や役割など未だ不明な部分が多い。 一昨年度の研究により逆行性トレーサーである仮性狂犬病ウイルス(PRV)を肛門に投与することによりBarrington核(Bar)等への集積が認められた。昨年より準備していた遺伝子改変マウスを用いてBarをターゲットとして光遺伝学的手法を用いて刺激したうえで肛門内圧を測定したところ光刺激と一致して収縮反応が起こることを確認した。また、化学遺伝学的手法を用いて同じくBarを刺激したとこと排便量が増加することも確認できた。以上からはBarが橋における排便中枢として遠位大腸運動に関わっていることが明らかにできた。現在、cre依存的に感染を起こしうるPRVをBarに投与することでいくつかの排便上位中枢候補が明らかにすることができており、さらにこれらの排便上位中枢に対して光遺伝学的手法を用いることで排便上位中枢の局在、役割の同定を行っている。加えて、便秘モデルマウスや下痢モデルマウスなどの病態モデルマウスを用いて今までの知見を活かすことで排便に関わる中枢の詳細が明らかにできるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり遺伝子改変マウスを用いた光遺伝学的手法および化学遺伝学的手法を用いて遠位大腸収縮を引き起こす実験系を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
PRVや光遺伝学的手法および化学遺伝学的手法を組み合わせることで更なる排便中枢の詳細が明らかにできるものと考える。
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Causes of Carryover |
実験に必要である機器、試薬の準備が遅れており、次年度にまとめて購入する予定である。
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