2021 Fiscal Year Annual Research Report
大腸SMがん浸潤先進部における腫瘍関連好中球の役割の解明と治療層別化への応用
Project/Area Number |
20K17057
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
須藤 豪太 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (60830130)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 大腸がん / 微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ / 腫瘍関連好中球 / SAA1 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸がんにおけるSAA1の機能を解析するため、解析を行った。SAA1を高発現する大腸がん細胞株(SW480)ではSAA1ノックダウンにより遊走・浸潤能が抑制された。一方、SAA1の発現が比較的低い細胞(HCT116)ではSAA1過剰発現により遊走・浸潤が促進された。腫瘍微小環境において、大腸がん細胞のSAA1発現を誘導するメカニズムとしてマクロファージおよび好中球に着目した。THP-1細胞をPMA処理によってマクロファージ様細胞に分化させ、大腸がん細胞と共培養した。またdHL-60細胞をATRAで好中球様細胞に分化させ、大腸がん細胞と共培養した。その結果、マクロファージが大腸がん細胞のSAA1発現を誘導することを見出した。また大腸がん細胞との共培養によりマクロファージのIL-1β発現が誘導されること、IL-1βに対する中和抗体により大腸がん細胞のSAA1発現誘導が抑制されたことから、マクロファージ由来のIL-1βがSAA1発現を誘導することが示された。さらに大腸がん臨床検体の免疫染色から、SAA1陽性浸潤先進部では、CD80陽性マクロファージと好中球の集積が認められた。SAA1高発現と浸潤との相関をさらに明らかにすべく、大腸がん細胞がマクロファージの遺伝子発現に与える影響に着目し、共培養モデルを用いて解析した結果、大腸がん由来のSAA1がマクロファージおよび好中球のIL-8ならびにMMP9発現を誘導することを明らかにした。大腸がん臨床検体を用いた免疫染色の結果、SAA1陽性の浸潤先進部では、マクロファージと好中球のMMP9を発現することが確認されたことから、大腸がんとマクロファージ・好中球のSAA1を介した相互作用が、浸潤を促進するというメカニズムが示唆された。
|
Research Products
(8 results)