2022 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン・プロテアソーム系を標的とした新規胃癌治療の開発
Project/Area Number |
20K17058
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
尾関 貴紀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (10865702)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃癌 / KLHL26 / BTB蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの胃がん細胞株(SUN-1、NCI-N87、NKN26)を用いた分子生物学的検証から、KLHL26は胃がん細胞の増殖能、運動能、浸潤能を促進する作用があることを明らかとした。本年度は、胃がん患者から摘出した胃がん組織におけるKLHL26の発現について免疫染色を用いて検証した。 KLHL26は胃の正常粘膜では発現はみられなかったが、前がん病変である胃腺腫では、軽度の発現を認め、胃がんでは強く発現していた。胃がんの進行度別にKLHL26の発現を検証したところ、Stage Ⅲでは、Stage II 、Stage Iに比較して有意にKLHL26の発現が高値であった。一方で、Stage I と腺腫では、Sage IでKLHL26の発現が高い傾向が認められたが、有意な差は認めなかった。次に、Stage II 以上の進行胃がんでのKLHL26の発現を検討したところ、KLHL26はがんの表層部よりも、浸潤部での発現が高い傾向がみられた。なお、KLHL26のがん部での発現形態は、比較的、びまん性に発現していた。患者背景とKLHL26発現の関連についての検証では、KLHL26は進行がん、特にstageの高い胃がんに高発現し、転移との相関がみられた。組織型とKLHL26の発現の関連については、今回の検証では明らかなものは認められなかった。これまでの研究結果から、KLHL26は胃がんの増殖能や浸潤能を促進する悪性度に関与する蛋白で、胃がんの浸潤、転移などに関与していると考えられた。 さらなる検討の余地は大きいが、胃がんの予後予測バイオマーカーや治療標的分子としてのKLHL26の可能性が示された。
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