2020 Fiscal Year Research-status Report
The fluid dynamic simulation of portal vein pressure of chronic liver disease
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20K17059
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石破 博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研修員 (50803665)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 門脈圧亢進症 / 肝硬変 / 食道胃静脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、本研究助成を受けて、2018年から2021年に研究代表者が勤務していた京都府立医科大学附属北部医療センターと京都第一赤十字病院通院中の肝硬変を含む慢性肝疾患患者577名について腹部超音波検査にて門脈本幹、左右枝、肝静脈、脾静脈の流速、血管径を測定、肝血流量、鬱血係数(CI)を算出、SWEにて測定した肝硬度(LSM)、線維化マーカーであるFIB4-index、4型コラーゲン7s、食道胃静脈瘤(EGV)の罹患率についてデータ収集した。 またデータの欠損などを整理した276名を対象に、肝機能正常群(HBVキャリア、単純性脂肪肝など)、慢性肝障害群、肝硬変群の3群にわけ、腹部超音波検査にて門脈本幹、左右枝、肝静脈、脾静脈の流速、血管径を測定、肝血流量、鬱血係数(CI)を算出、SWEにて測定した肝硬度(LSM)、線維化マーカーであるFIB4-index、4型コラーゲン7sとの関係、EGVとの関係について統計学的検討を行ったところ以下の知見を見出した。;肝線維化進展に伴い有意に、血流量は左肝静脈、門脈左枝で増加、右肝静脈で低下し、流速は門脈右枝、門脈本幹で低下、門脈左枝で増加、うっ血係数は門脈全体で上昇した。肝硬変群中EGV例で有意にPT活性の低下、LSMの上昇、門脈左枝血流量の増加、門脈本幹、左枝のCI上昇を認めた。EGV診断についてROC解析ではAUROCは門脈本幹で0.842と最も高かった。肝線維化の進展により肝左葉の血流増加、右葉の低下、門脈系全体のうっ血を認め、肝硬変の進行に伴う血流動態のリモデリングが示唆された。またEGV診断では、その拾い上げに門脈本幹のCIが有用であることが示唆された。血流評価を加えることで肝線維化の進展、EGVの拾い上げに有用である可能性がある。2021年11月に開催される日本消化器病週間(JDDW)に報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標として、データ収集と門脈圧亢進症と肝血流の関係について整理する予定であったが、おおむね順調にデータ収集が施行でき、また肝線維化と門脈圧亢進症との関係についても知見が得られ、今後の検討の基礎が得られらと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在2施設でのデータ収集・解析を行なっているが、今後共同研究施設を増やし、さらに肝血流のデータ収集を行なっていく。また昨年度、本研究助成で購入した血液粘度計を用い、2021年度から2022年度に肝疾患患者の血液粘度の測定を行い、血液粘度の近似式を検討する。血流データと合わせて、数値解析的に門脈圧のモデル式の検討、シミュレーションを行い、実際の臨床との関係を検証する。
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Causes of Carryover |
2020年度の予算にて血液粘度計本体を購入し、予算の大部分を消費したため研究に必要な消耗品の購入ができず、その端数として、今回残金が発生した。本年度予算と合わせて、消耗品、薬品などの備品を購入、研究を進めていく予定としている。
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