2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患の粘膜治癒過程における浸透圧変化の影響
Project/Area Number |
20K17061
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清島 亮 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10573412)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 粘膜治癒 / 浸透圧変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease, IBD)は原因不明の難治性腸炎であり、下痢・血便などの症状の他、腸管の穿孔をも引き起こす重篤な疾患であるにも関わらず、根治治療が確立されていないため、その予防・治療法の確立が急務である。根本的な治療法が確立していない原因として、本疾患の病態発症メカニズムが依然不明である点が考えられる。従来は臨床症状に重点が置かれていたが、近年の臨床では、腸管の粘膜治癒(mucosal healing)を病理学的に評価するようになり、また、新しい生物学的製剤や免疫調節薬、食事療法の改良などにより治療選択肢は広がったものの、体系的な治療指針を示すには未だ至っておらず、本疾患の病態発症機序の解明ならびに新規治療標的の発見が必要である。本研究は、IBD腸管の粘膜治癒過程における粘膜微小環境の浸透圧変化と免疫系細胞の動きに注目し、両者を関連付ける分子としてtonicity-responsive enhancer-binding protein (tonEBP)の働きに注目し、粘膜治癒をエンドポイントとする新しいIBD治療の開発を目的とした。本研究の結果、粘膜微小環境の浸透圧変化によりtonEBPをはじめとした浸透圧応答タンパクが上皮細胞ならびに間質に存在するマクロファージにおいて活性化することを見出し、かつその活性化が粘膜治癒過程と相関することが明らかとなった。今回得られた知見をさらに発展させ、浸透圧応答タンパクが腸管免疫および上皮再生に与える具体的な影響を明らかにしていくことが望まれる。
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