2020 Fiscal Year Research-status Report
血中アルギナーゼの局在と由来に着目したNAFLDにおける動脈硬化の機序の解明
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20K17067
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
荻野 学芳 高知大学, 医学部, 客員助教 (70614204)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルギナーゼ / エクソソーム / 脂肪性肝疾患 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の過去のpopulation studyにおいて、一般的には動脈硬化性疾患の血管組織でみられるアルギナーゼ活性の上昇が、健診受診者の血中でもBMIや耐糖能低下と比例して上昇していることが判明した。血管組織において研究対象とされてきたアルギナーゼがなぜ血中で上昇するのか、その詳細な機序は不明であった。アルギナーゼを高発現する臓器による血中へのアルギナーゼ分泌が、肥満によって上昇するという仮説のもとに、高脂肪食負荷のによるNAFLDモデルマウスを解析したところ、血糖値に反応して肝臓からアルギナーゼ1を含有するエクソソームの分泌が増えることを見出した。この結果はアメリカ肝臓学会(AASLD2020)でポスター発表に採択された。これらの知見をまとめ、現在論文投稿中である。 アルギナーゼを選択的にエクソソーム内へ取り込む機序についてさらに解析するために大量のエクソソームが必要であり、培養細胞の培地を超遠心することでエクソソームを単離するようにしていたが、その収量やタンパク質濃度が安定していないことから他の方法も検討していく予定である。 アルギナーゼ1の強制発現プラスミドを作成し、培養細胞へのトランジエントなトランスフェクションによってその作用を確認済みであるので、抗生剤による細胞選択を行う予定としている。 ヒトの血中のアルギナーゼの局在の検討については、購入したヒト血漿をもちいて試験解析を行っているところである。この研究は、ヒト血中の抗酸化酵素関連物質の解析研究に含まれており、この研究での解析を進めていく。 慢性肝疾患患者の血漿のアルギナーゼ1の解析によって、その値が精神調査の問診票GHQ-28のスコアと有意なassociationがあることがわかり、国際誌「Diagnostics」に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、研究室での実験を開始することが難しい状況であった。2020年6月ごろより実験を再開できたものの、採取したエクソソームの結果が安定せず、アルギナーゼ1をエクソソームに取り込む分子機序の解析についてはほとんどすすんでいない。ヒト血液検体に関するアルギナーゼの局在の検討については、研究施設の移管にともなって倫理申請の再申請を行わねばならず、研究開始が7月ごろになった。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿論文のreviseに対する追加実験を行う。 培養細胞培地からのエクソソーム回収については、CD9抗体等のビーズを使用した採集方法や市販のカラム等のキットなどを検討する必要がある。 ヒト血漿中のアルギナーゼの局在に関する研究については、限外濾過膜カラムを使用した活性の局在の探索から行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により実験の開始が遅れてしまい、計画が遅延しているため
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Research Products
(2 results)