2020 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌における静止期癌幹細胞関連分子BEX2の解析
Project/Area Number |
20K17068
|
Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
虻江 誠 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 特任研究員 (50599967)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、癌組織の中に「癌幹細胞」の存在が報告されている。癌幹細胞は静止期(G0期)に存在するため、抗癌剤や放射線照射に対して強い耐性を持ち、治療抵抗性の主因を担っている。従って、静止期に存在する癌幹細胞を通常の細胞周期に誘導できれば、効果的な癌治療に結びつく。血液癌においてはFbw7分子が静止期の維持に重要であることが示されている。しかし、固形癌幹細胞における静止期の維持に関しては、多くの点が未解明のままである。 私たちはこれまで、癌細胞の「免疫不全マウスにおける造腫瘍能」を指標に癌幹細胞をスクリーニングした結果、胆管癌においてBEX2発現細胞が静止期癌幹細胞であり、BEX2自身が静止期癌幹細胞の維持に重要な機能を果たすことを見出した。BEX2高発現癌細胞は、ミトコンドリアタンパクTUFMと共同して酸化的リン酸化を抑制し、静止期に移行することで、抗癌剤耐性能を獲得していた。以上から、静止期癌幹細胞に発現するBEX2は治療に応用できる新規標的であると考えられた。 申請者らは続いて、BEX2の他癌種における発現のスクリーニングを行ったところ、大腸癌で高発現することを認めた。大腸癌は現在も死亡数が年間4.5万人に上り、新たな治療手段が望まれる癌の一つであり、治療抵抗性の原因となる癌幹細胞とその機能分子が同定できれば新規治療法の開発に弾みがつく。本課題では、大腸癌におけるBEX2の役割を、特に癌幹細胞の観点から明らかにし、その分子機構の全容を解明することで、大腸癌の新たな治療薬開発の端緒を目指す。 本年度はヒト大腸癌検体を多数染色し、BEX2と組織型・臨床情報との関連を検討した。また、大腸癌以外の消化器癌に関しても、BEX2の発現強度を免疫染色で検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書通りに進めている
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、大腸癌及び消化器癌におけるがん幹細胞の性質検討を続ける。
|
Causes of Carryover |
次年度は網羅的解析を予定しており、多額の費用がかかることが予想されるため。
|
Research Products
(2 results)