2020 Fiscal Year Research-status Report
炎症プロセスを介する心室拡張不全治療アプローチの開発
Project/Area Number |
20K17071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和氣 正樹 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (30847124)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心臓マクロファージ / 心臓線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の薬物治療により収縮能低下による心不全(収縮不全)に対する治療は大きく進歩したが、収縮能の保持された拡張不全に対して有効は未だ存在せず、高齢化と共に心不全症例の劇的な増加が大きな問題になっている。なぜ心臓が過剰に線維化するのかは明らかではなく、治療法を開発する上での大きな障害となってきた。心不全組織にマクロファージ(Mφ)が集積することに着目した。これら心臓MφとMφにより引き起こされる炎症は心線維化に大きく関与していると考えられた。これまでに、我々は細胞の低酸素応答を司る転写因子Hypoxia inducible factor(HIF)-1αに着目し、そのMφ活性化における役割を検証してきた。その結果HIF-1αシグナルがMφの炎症局所への遊走に必須であることを同定した。心臓に集積する炎症惹起型M1-Mφが抗線維化作用を有し、心筋組織の過剰な線維化を予防していることが分かった。更にその分子機構を検討したところ、M1-Mφから分泌されるサイトカインoncostatin-M (OSM)が心臓線維芽細胞の活性化を抑制していることを見出した。 さらに我々は、マクロファージの線維化に至るプロセスを詳細に検討したところ、転写因子と転写因子を制御するユビキチンリガーゼが関与している可能性が示唆された。この経路の下流には、マクロファージが分泌する線維化に関するサイトカインの制御も関わっている可能性があり、引き続きこれらの経路にかかわる因子も特定しいく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①Oncostatin-Mによる心臓線維芽細胞活性制御の分子機構を解明する 既にOSM過剰発現モデルとなるMφ特異的HIF-1α活性化マウス(VHL欠損マウス)を用いた研究にも着手しており、Oncostatin-Mによる心臓線維芽細胞活性制御の分子機構を解明できると考えられる。Oncostatin-M(OSM)が線維芽細胞活性化を抑制機構に関して、引き続きOSMの下流で活性化するSTAT3, STAT5シグナルに着目しsiRNAを用いてた、OSMが心臓線維芽細胞を不活化する分子機構解明について検討している。 ②Mφシグナルを介する心臓線維化制御法の開発 上記VHL欠損マウスの検討に加えHIF-1α安定化薬Roxadustatを封入したLiposomeを投与することで薬理学的にMφ特異的にHIF-1αシグナルを活性化した検討を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
心臓線維化に関わる、既知の回路のほかに、新たな制御回路の可能性が示唆される研究結果を得た。このため、すでに申請した内容に加え新たな経路に関しても検討を加える方針とした。
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Causes of Carryover |
共用機器を使用した点、COVID-19感染拡大により一部の実験に制限があったため。
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