2023 Fiscal Year Annual Research Report
炎症プロセスを介する心室拡張不全治療アプローチの開発
Project/Area Number |
20K17071
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
和氣 正樹 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (30847124)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心臓病 / 炎症 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の薬物治療および経カテーテル治療の進歩により収縮能低下による心不全(収縮不全)に対する治療は大きく進歩してきた。その一方で、収縮能の保持された心不全、いわゆる拡張不全に対して有効は未だ存在しない。心線維化が拡張不全の主要な病態であるがなぜ心臓が過剰に線維化するのかは明らかではなく、治療法を開発する上での大きな障害となってきた。心臓病の心筋組織にはマクロファージなど炎症細胞が集積することが知られている。これまで研究代表者らは心臓の炎症プロセスに着目し、心臓線維化、拡張不全病態における役割につき解析を行ってきた。この中で心臓に集積する炎症惹起型形質(M1)を有するマクロファージから放出されるサイトカイン Oncostatin-Mが心臓線維芽細胞を不活化することを明らかにしてきた。本研究では引き続きマクロファージ活性化機構を明らかにすることで、心臓病における炎症プロセスの分子病態の解明を進めている。当該年度における研究の中で、心臓リモデリング過程においてマクロファージは、Oncostatin-Mを分泌して線維芽細胞活性化を抑制する一方で、VEGFAを分泌することで血管恒常性維持をしていることが明らかとなった。また、In vitroでの解析からマクロファージと血管内皮細胞の接着がVEGFAシグナル伝達による血管内皮細胞チューブ形成を促進することを見出した。
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