2021 Fiscal Year Annual Research Report
慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療目標設定のための重症度スケールの開発研究
Project/Area Number |
20K17075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
足立 史郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60782430)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / 肺高血圧症 / 重症度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1. 急性肺塞栓症から慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)への移行およびそのリスクの解明、2. CTEPH診断時のmodified CT obstruction index (mCTOI)と治療反応性との関連を評価した。1では前向き観察研究を行い46施設から52人の患者を登録した。急性肺塞栓後1年後に74%に血栓が残存し、その独立したリスク因子は1か月後の血栓の残存であった(OR 103.4, 95% CI 4.2 - 2542.1)。1年後のmCTOIは10.4%であり、また急性肺塞栓発症時の三尖弁逆流圧格差60mmHg以上、左室拡張末期容積が1年後のmCTOIに関係した。CTEPHへの移行は3.8%であった。2においてはCTEPH診断後、リオシグアトを使用しBPAを行った11症例を登録した。診断時の平均肺動脈圧は42±14.7 mmHg, 肺血管抵抗は13.8±9.8 Wood単位であった。mCTOIと診断時の血行動態指標とは有意な関連を認めなかった。一方SvO2は有意な相関を認めた(r= -0.443, p= 0.010)。リオシグアトとBPA治療後では、平均肺動脈圧(r= -0.657, p= 0.028)と肺血管抵抗(r= -0.617, p= 0.043)では有意な負の相関を認めた。診断時の血栓量は血行動態の重要度とは関連がなかったが、診断時のmCTOIは治療効果と関連することが明確になった。CTEPHには血栓と肺動脈末梢のリモデリングの2つの要素があるが、それを臨床的に切り離して評価することは困難である。mCTOIが低い、つまり目に見える血栓が少ない場合は肺動脈のリモデリングがより強く関与している可能性が示唆される。このような場合はBPAよりもリオシグアトによる肺血管抵抗の低下が大きいことがわかった。
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Research Products
(2 results)