2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害薬関連心筋障害の治療法開発を目指した前向き臨床研究
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20K17076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古澤 健司 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50829158)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / 潜在的 / 心筋障害 / 心エコー / ストレイン / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は従来とは異なる機序により画期的な治療効果を示しているが、全身の様々な臓器に重篤な副作用(irAE)を引き起こすことが報告されている。生命予後に大きく影響するものとして心筋炎を含む心筋障害(irCAE)が挙げられるがその発症時期や頻度、詳細なメカニズムに関して不明な点が多い。本研究は、バイオマーカーと心エコー所見から、心不全発症や劇症化する前段階で、潜在的なirCAEの同定とその関連因子を明らかにすることを目的としている。 準備段階として、後ろ向きに免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療によるirCAEを解析した。409名にICI治療が実施されており、重篤な心血管イベントの発生は2名(0.5%)であり、心筋炎、心筋血管炎の発生であった。irCAEの発症は、irAEの既往がある患者で多く、心疾患の既往の有無に関係なくirAEのある患者の方が予後が良いことを報告した。 ICI治療におけるirCAEを予測するために、バイオマーカー(トロポニンT、NT-ProBNP)でフォローし、心電図、心エコーを実施した。心エコでは、左室長軸方向の変形を評価するglobal longitudinal strain(GLS)で潜在的な左室収縮障害を評価した。 現在まで240例がICI治療をうけており、解析対象患者は順調に登録されているが、当初の予定より心筋炎のような重篤なirCAEの発症を認めなかった。いずれも心筋障害はバイオマーカー異常のみでsubclinicalなものであった。ICI投与前からバイオマーカー上昇しているケースがあった。現在は、研究計画に加えて、ICI治療前段階での心疾患の有無(顕在的な異常)や潜在的な異常が、その後のirCAE発症にどのような影響を与えるかについても検討項目に加えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫チェックポイント阻害薬治療における心筋障害を予測するために、既存のバイオマーカーであるトロポニンT、NT-ProBNPでフォローし、生理検査としては心電図、心エコーでフォローした。心エコーにより心機能障害を評価するために、左室長軸方向の変形を評価するglobal longitudinal strain(GLS)で従来の左室収縮能とともに潜在的な左室収縮障害を評価してきた。 現在まで240例が免疫チェックポイント阻害薬治療をうけており、解析対象患者は順調に登録されているが、当初の予定より心筋炎のような重篤な心筋障害の発症頻度が少ないことから、心筋生検は実施できなかった。顕在的な心筋障害の予測関連因子やバイオマーカー探索が行えていない現状があり、研究期間の延長を申請していることから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
施設内で実施されている免疫チェックポイント阻害薬治療開始から、バイオマーカートロポニンT、NT-ProBNP、生理検査で心電図、心エコー(GLS含む)でのフォローを実施していく。心筋炎のような重篤な顕在的な心筋障害irCAEの発生が少ないことから、心筋生検のサンプリングは困難と考えられた。 治療開始後の潜在的なバイオマーカー異常、心エコー(GLS含む)異常がその後の顕在的irCAE発症との関連因子となりうるか探索する。 また治療前段階からの潜在的なバイオマーカー異常、心エコー異常(GLS含む)がある患者が多数おり、ICI治療前段階での心疾患の有無(顕在的な異常)や潜在的な異常が、その後のirCAE発症にどのような影響を与えるかについても検討項目にくわえて解析を行なっていく。
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Causes of Carryover |
本研究は通常臨床で行っている血液検体検査、心エコー図検査の結果も利用している。また、心筋障害が顕在化したケースでは、新たなバイオマーカー探索を行う研究に要する資材などに費用がかかる予定であったが、心筋生検を要する重篤な心筋炎の発症がなく予定より資金を要しなかった。昨年度同様にコロナウイルス流行により海外渡航禁止、国内の主要学会もリモート開催となったため、資金を当初よりおさえる形となった。 次年度では、PC・解析ソフトの購入を予定しており、購入したPCを使用し腫瘍循環器に関するデータを集積して解析する予定である。また海外での学会発表や論文化を予定している。 以上より引き続き、研究資金が必要であり繰り越した。
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Research Products
(3 results)